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新年のご挨拶

新年あけましておめでとうございます。

昨年は令和元年で10月には開業して4年目を迎えました。すこしずつクリニックの特徴を出すことができた1年だったように思います。9月にはラグビーワールドカップで沢山の感動をもらいました。ワンチームという素晴らしい流行語もありました。

今年もへんに背伸びすることなく、自分に出来ることを確実にやっていきたいと思っています。本年は1月4日(土曜日)が仕事始めとなります。小さいクリニックですので、至らないところも多々あるかと思いますが、職員一同努力してまいりますので、どうぞ今年もよろしくお願いいたします。

 

家族で大宰府天満宮に初もうでに行く際にと撮った初日の出

2020年01月01日
年末のご挨拶

2019年も残すことわずかになりました。本日が当院の2019年の仕事納めでした。今年はインフルエンザの流行は早い時期に少しありましたが、最近はポツポツとおられる程度で当院の地域ではまだ流行しているという程ではないような印象です。しかし常に流行時期がありますので、年末年始は開いていない医療機関が多いので、どうぞ皆さま手洗い、うがいを励行し、飲みすぎなどにご注意ください。新年は1月4日土曜日より開院いたします。

当院は今年10月で開院して4年目を迎えました。あっという間の3年間でした。少しずつですが、馴染みの患者さんが増え、新たな患者さんもおいでいただくようになりました。患者さんは健康に不安があるので、当院においでいただくのですが、その不安にお答えできているかどうかの自信はありません。自分にできることは限られていますので、まずはお話をよく聞くことを意識してきました。繰り返しお話したのは、検査をしたから患者さんの不安の原因が必ずしも分かる訳ではないことです。よくお話するのは『検査についても限界があるということ』、『検査には常に目的があり、今回は症状を説明するためではなく、癌はまずはないということの確認の為の検査ですよ』などです。開業して驚いたのは、大学病院ではあまり経験することのない、明らかな器質的疾患がないのに訴えが続く患者さんの多いことです。このため上記のようなお話をすることが多いのかもしれません。

学生時に先輩医師から言われた『患者さんが痛いということは、必ず原因があるからで、検査して所見がないから何もないということではない』という言葉は常に意識しています。医学部5年生のとき、ベッドサイドトレーニングといいまして、いろんな科の実際の患者さんを担当してお話をうかがったり、実際の検査や治療に参加する実習があります。どの科でも一人の入院患者さんを担当し、患者さんの問診、診察、検査計画、治療計画などを担当医の先生から教えてもらいながら勉強していきます。その週の学生グループの担当医は毎週かわり、学生同士では『俺たちは○○先生でラッキー、××先生でアンラッキー』という話をしていました。その後私が入局した科に有名な指導医の先生がいました。その先生は他の指導医の先生とはまったく異なる指導方法でした。大学病院では、診断がついて精査や加療の為に入院してくる患者さんがほとんどですから、検査結果や治療方針に学生の興味は集中しがちです。しかしその先生はとにかく問診にこだわる先生でした。実習期間のほとんどを患者さんから、お話を聞く問診の内容評価に費やすのです。学生の間では不評でその△△先生の名前をとって△△地獄と言ったりしていました。でも今ならわかります。30年以上前の話ですが、そのころの検査や治療で今でも主流のものはありませんが、問診にこだわり診断へのプロセスをトレーニングするという教育方法はまったく色あせていません。

偉そうなことを書きましたが、実際私がそのようにできているかと言われればはなはだ程遠いと自覚しています。診断エラーで多いものは、自分の専門分野のようで、実は他の臨床科の疾患(たとえば、おなかが痛いといいながら実は心臓の病気など)、安易な診断による思考停止(今日はたくさん、下痢のウイルス性胃腸炎の患者さんがきたから、この患者さんもそうだろう)等です。これを防止するのはなかなか難しいことですが、独りよがりにならない、患者さんの訴えの経過を追うということを意識しています。つまり自分の診断にこだわらず、患者さんの訴えの推移を見るということです。それが、実際それがどの程度やれているのかはわかりません。しかしそれが、おいでいただく患者さんの方々には当院で加療をしても症状が続く場合には後方病院へ紹介することをお願いする理由です。毎日私と働いているみんなと朝、声を出して読んでいる、当院のモットーがあります。それは『永続的に自己研鑽をつみ地域のニーズに応える』というものです。職員一同患者さんの声に耳を傾け自己研鑽をつむことで地域のニーズに応えるように努力してきた1年でした。来年もその努力を継続していきます。長文になりました。皆さまよい年をお迎えください。

 

2019年12月30日
肝臓学会教育講演会

本日クリニックを午後休診にさせていただいて、下関で開かれている肝臓学会で開催された教育講演会に参加してきました。JR佐賀駅から下関に行きましたが、福岡~小倉がわずか12分ということに驚きました。幼少期に父の実家が小倉でしたので、久留米から小倉に行くことがありました。その際は電車で数時間かかっていたので…。会場では多数の受講者に混ざって肝臓に関するいろんな講演を聞いてきました。B型肝炎、C型肝炎、肝細胞がんの診断、治療、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、肝硬変総論、肝硬変の栄養療法、門脈圧亢進症、肝移植等の最近の知見を教えていただきました。開業医として地域医療に関わっていて、肝炎患者さんが減ったなぁという実感を裏づけるようにC型肝炎を背景に持つ肝がんが減少しているという報告がありました。一方非BC由来の肝がんが増えているということは私にはあまり実感がありませんが(もともと肝がんの患者さんがいなかったので)、その多くは非アルコール性脂肪性肝疾患を背景にして発生するだろうとのことは、今後エコー検査をしていく上で大事なことと思います。肝細胞がんの治療の講演では、分子標的治療薬が進行肝細胞癌に対する世界的標準治療薬とのコメントに驚きました。最後に肝移植のご講演では、米国はほとんど脳死肝移植に対して、日本ではほとんどが生体肝移植であり、その成績が欧米とそん色がないことに驚きました。生体肝移植はドナーの管理、移植する肝臓のボリュームが少ないなど手技の煩雑性が増し、脳死肝移植より医療者にとっては負担がかかることでしょう。その中で良い成績を上げている移植医の方々には頭が下がります。肝移植は逆転ホームランとのコメントがありましたが、肝硬変で黄疸がでて、倦怠感が強かった患者さんが、生体肝移植を受けて、さっそうと元気に挨拶に来られて驚いたことを思い出し、確かにそうだなと思いました。帰りは下関駅近くのきれいなイルミネーションをみながら家路につきました。

2019年12月13日
RS Baseオフ会

11月9日に 鳥栖の竹取物語という風流な場所でRS Baseという画像閲覧ソフトを開発した広島の山下郡司先生、開業医として総合診療の教育に力を注いでおられる中西重清先生を囲んでの食事会があり、参加してきました。現在どの分野でも電子化が進みペーパーレスになってきていますが、医療の分野でも同様で、多くの医療機関が電子カルテを取り入れています。電子カルテとともに画像も電子化が進み、昔のようなシャーカステンにレントゲンフィルムをかけて読影することはほとんどなくなり、モニター上で画像を見ます。

うちのような小さなクリニックでも画像としては、心電図、レントゲン、エコー画像、内視鏡画像、データとしては血液検査、尿検査、肺機能検査、また連携病院でお願いしたCTやMRI画像などをモニター画面で見ていきます。これらすべてをモニター画面上でみることのできるソフトを開発されたのが広島の開業医の山下先生です。そしてそのソフトをほぼただ同然で提供されるだけではなく、日々バージョンアップされており、その姿勢には頭がさがります。今や多くの電子カルテとの連携ができるになってきており、最近の追加した新しい機能の説明がありました。私はその機能のほんの一部しか活用していませんでしたが、RSカメラというアプリが現在ダウンロードできるようになっているそうです。これはiPhoneで撮影した静止画や動画を瞬時にRSベースにアップロードできるというものです。皮膚科の先生からは外来患者さん100人に対して写真を4枚程度毎日撮影するので、ほぼ毎日400枚前後の画像を次々にアップロードできるので非常に診療の手助けになっているということでした。たしかに目の前の患者さんのデータを後でゆっくりまとめる時間などないので、その場で次々に画像をファイリングしてくれるシステムはありがたいことだと思います。もう一人の中西先生は総合診療の草分けのような先生で、開業医としての診療をしながら、若い医師達への教育にも力を注がれている先生です。大阪で総合診療スキルの習得、教育を目的に『21世紀 適々斎塾』を開催されています。中西先生からは興味深い症例の動画を交えた提示が10例以上ありました。肺気腫にばち指が併存するときは肺がんを疑え!、手を握ると著名に痛がる高齢発症の関節リウマチ(EORA), 前皮神経絞扼症候群 (Anterior Cutaneous Nerve Entrapment Syndrome: ACNES)、初期のパーキンソン症候群、初期の筋委縮性側索硬化症などです。とても刺激を受けた時間でした。

2019年11月11日
アップパートナーズ佐賀オフィス

開業以来お世話になっている税理士法人のアップパートナーズが新たに佐賀オフィスを立ち上げられました。その開業式典がありお誘いを受けたので参加してきました。いろんな職種の方々がおられ、ビジネスの世界でよくある名刺交換をみなさんされていましたが、私はこのような会にでた経験がほとんどなく、少し場違いな感じがしていました。しかし隣には私のクリニックの設計を担当していただいたGATの吉浦さんがおられましので、楽しく歓談ができてあっという間に時間が過ぎました。アップパートナーズの菅拓摩代表は私の一回り年下の方です。思い起こせば3年半前に菅代表を知人に紹介して頂き、とんとん拍子に開業が進みました。私は年は取っておりましたが医業以外を知らない人間ですので、『本当に大丈夫だろうか』と不安一杯でしたが、菅代表を始め、開業支援のエキスパートの方々に『先生は大丈夫です』と背中を押してもらいながら半年で開業にこぎつけることができました。

開業医は医業とは別に個人事業主という顔を持ちます。起業をされる方はみな同じですが、医業においては通常のビジネスの社会でもっとも大切な利益追求ではなく、医療福祉への貢献というのが求められます。だからといってお金のことを考えなくてやっていける世の中ではありません。医療機関の統廃合がおこるのもそういう面があると思います。私にとっては自分の専門とする医業に力を集中し、経営的な面に関しては多数の医科歯科を顧客に持ち、医療界での経験値の高いアップパートナーズにサポートしていただく体制はなにより有難いことです。福岡本社は博多駅から歩いて5分の一等地のビル内にありますが、佐賀は鍋島にオフィスがあります。吉浦さんが設計に関わったというからとてもおしゃれなオフィスでしょう。いつかお邪魔させていただきたいと思います。アップパートナーズのますますのご発展を祈念します。

2019年11月01日
NHO佐賀病院

昨日は4か月に1回行われている基幹病院と佐賀市医師会の懇親会でした。今回の基幹病院はNHO佐賀病院でした。佐賀市医師会からは39人、NHO佐賀病院からは18人の参加でした。顔の見える関係を作ろうとの佐賀市医師会の理事の先生の発案から開始されて今回が26回目とのことです。今回も和気あいあいと楽しく時間を過ごすことができました。実はこの回は先日の大雨の翌日に予定されていましたが、大雨に伴い延期されていました。当日はNHO佐賀病院も浸水の被害にはあわれたそうで、大変だったようです。救急車が患者さんを搬送するのもままならなかったとか。ライフラインの大切さを本当に思い知らされた大雨でした。

また今回NHO佐賀病院の新院長になられた円城寺昭人先生は積極的に開業医を回られ、連携を深める努力をしていただけています。開業医として医師1人で働いていますと、本当にこの診断で良かったのだろうか、このまま家にお返しして良いのだろうかと不安になることがあり、頼ってくださる患者さんの健康を預かる医師としての重い責任を感じることが多々あります。佐賀では基幹病院(佐賀大学付属病院、好生館、NHO佐賀病院、佐賀中部病院)との連携がしっかりとれていることを常に有難いと思っています。

2019年10月04日
糖尿病の食事運動療法

8/26のプライマリ研究会にて、糖尿病(食事運動療法の実際と最適な薬物療法)の講演を聞いてきました。演者は福岡で多数の糖尿病の患者さんを外来で診ている二田哲博クリニック(姪浜)院長の下野大先生でした。とても勉強になるご講演でした。以下私なりの記録です。

 2009年 DPP4 2014SGLT2という新しい糖尿病治療薬が発売された。現在3500名の糖尿病患者を外来で診療している。 2013年以降は平均HbA1c 7%程度。夏と冬では0.20.3%の差がある。夏は運動療法ができるので低い

 

2009年以来DPP4は徐々に使用頻度が高くなり、現在は7割のDMの患者さんに使われるようになっているし、ファーストチョイスとして処方される頻度も高くなっている。

なぜDPP4が日本人に使われるのか?欧米人と日本人ではインスリン分泌の形態に違いがあることが指摘されている。75gOGTTの試験でブドウ糖負荷でインスリンがどのように出るかを見てみると、欧米人は正常/耐糖能異常/DMは、インスリン値が耐糖能異常では更新し、それがおいつかなくなった状態がDMであるのに対して、日本人ではインスリン値が正常→低下→さらに低下してDMになるという結果がある。この為インスリン分泌をよくするお薬が日本人には効きやすいということになる。

インスリン分泌に関して

DPP4は血糖値が高いとインスリンを出す、低いときにはインスリンをださない

しかしSU/グリ二ド併用は低血糖をきたす可能性はある。

DMPtは高齢者が増えており、7割は65歳以上である。高齢者では低血糖をきたしてはいけない。DPP4は低血糖をきたさないのは大きなメリットである。

自殺企図でDPP4であるシタグリプチン 1700mg(常用量の17倍)を内服しても意識障害、低血糖()、血中のIRIも過剰分泌はきたさなかったという症例報告がある。

神戸中央市民病院で救急受け入れで、重症低血糖の救急は平均75歳、SU>>インスリンkの原因が多い。SUは低血糖に注意が必要

ではDPP4に欠点はないのか?

DPP4はほとんど低血糖をきたさないが、途中で効果が減弱することがある。開始して半年で改善したHBA1cの半分以上が戻ったのを再上昇と定義すると、3人に1人が半年を境にわるくなっている。糖尿病協会で大きな規模でみてみるとHbA1c 0.4%以上あがったのは4人に1人。つまり3人~4人に1人が再上昇をきたす。どういう人が再上昇をきたすのか。トランスが上がる傾向がある。DMではNASH、薬物副作用で肝機能をみると、インスリン抵抗性のHOMA-Rと肝機能が挙がる傾向がある。

不摂生でDPP4のインクレチンの効果が低下する(短期間でも)。

インクレチンのインスリンの反応が不摂生によって低下することが考えられている。

食事運動療法

運動とインクレチン

マウスをトレッドミルで走らせると、IL6が挙がり、GLP1の濃度↑、

膵臓のα細胞はプログルカゴン→グルカゴンがプログルカゴン→GLP1を作るようになり、インクレチンの効果↑、グルカゴン↓、インクレチン効果でインスリン分泌↑つまり運動とインクレチンは相性がよい。

 

DMの治療が進歩したので、生活習慣の見直しをしなくてもコントロールができるのか?

薬物療法が進歩したが(内服7、注射2種類と薬は増えている)、そのベースには生活習慣の見直しは必須

運動食事療法に関して

専門医療機関(DM)の患者のアンケート調査では半数しか運動していない。

運動効果は多岐にわたる。血糖改善、サルコペニアの予防、骨粗鬆の予防にもなる。

患者さんは短期的には運動は頑張るが、長期に続かないので、血糖改善だけではなく、寝たきり予防、大腸がん、骨折が減るという啓もうをしている。

運動に関しては

有酸素運動でもレジスタンス運動どちらでも効果はある。どちらもHbA1c 0.5~1%下がる。しいていえば有酸素運動+レジスタンス運動がHbA1c、 体重が最も下がる。

Walking(継続率最も高い有酸素運動)の前後にレジスタンス運動(スクワット等)を入れるのも一つの方法

運動の多目的効果について

運動(1年間)→HbA1cはだいたい3か月でしっかりと低下し、そのあとはどんどん下がるわけではない、運動でそれを維持する。

HbA1c0.5~1%しか下がらない。しかし運動によって高血圧の患者さんは収縮期/拡張期も20mmHg程度下げる。脂質はコレステロールは20、TG1年で40程度下がる。

870人の2DMPtに5つの危険因子で動脈硬化が進むのか

男性、タバコ、HT、脂質が高い、虚血性心疾患の既往の5つのパラメータの重なりをみてみると、危険因子が多いほど動脈硬化が進むことが確認されている。

運動は血糖以外への効果があるので、運動は積極的に進めるべきである。

 

サルコペニア

握力と予後の関係

握力が1Kg増えるごとに男は死亡率10%下がる、心血管イベント全体で10%低下、入院率が明らかに下がる

握力男/26/18Kgがカットオフ:サルコペニアの診断基準

これをきっていなければサルコペニアではない。

握力低下があれば、骨格筋の測定、骨塩定量が低下していればサルコペニア

 

サルコペニアの予防には

有酸素運動、レジスタンスでも改善する。両方やった方がよい。この2つにバランス運動を加える

片足立ち(バランス運動)

立ち座り→バランス運動→有酸素運動→立ち座り→バランス運動がよい

 

Walkingはどうしたら続くのか。

歩数計をもつだけで2500歩は上がる。

生活活動量は通常20004000歩程度。

 

歩くのが無理の方でも歩かなくても立っているだけでも改善あり。2型糖尿病の患者さんには30分毎に5分立ち上がるだけで血糖改善効果はある。

 

スポーツができるほど元気なかた。どのレジャーがいいのか

テニス>バトミントン>サッカー

仲間と一緒に運動がよい。

 

食事

タンパク質をとらなければ筋肉がつかない。実際どの程度必要か?

総エネルギーの15%を蛋白質でとること

1g/単位体重以上とるのがよい。とくにロイシンがよい。ロイシンは乳蛋白、鶏ささみに多く含まれる。

今後BMI 22を撤廃する予定。目標体重になる。

目標体重高齢者では22にしても寿命がのびない、2225

 

若い人の野菜摂取量が低く6割程度しか摂取していない。

糖尿病の患者さんには歯周病は合併症として認知されていない。歯周病で野菜、こんにゃくが食べれなくなり→血糖コントロールがさらに悪くなる。野菜をたくさんとると歯周病が減る。

 

食事運動療法では頭でっかちではうまくいかない

運動療法指導する医療スタッフでも

2回以上30分以上の運動(習慣的運動)を実践しているのは3割程度。知っているだけではやらない。

食事運動療法を積極する必要性があるのは当然だが、

運動指導は食事指導に比べて指導が少ない。保険点数がないのも原因の一つか。

 

運動が楽しいと思う人、運動指導を外来診察6回に1回程度医師が指導している人(半年に1回)に運動が続いている。医師による声かけは必要。

 

一般内科にも糖尿病の患者さんは受診されます。7人に1人が糖尿病の時代ですから当たり前ですね。しかし医師は安易に薬を処方するのではなく、まずは食事運動療法の指導が基本。内服薬としてはDPP4が日本人は合っているお薬で、副作用も少なく、処方しやすいことがよく理解できました。しかしそれでもHbA1cの下がりは誰にでも期待されるのではなく、効果が減弱する方々がおられること。やはりベースは食事、運動療法であることを再度銘記しました。明日からの外来診療に役立てます。まずは自分の食事運動療法からですが…。

 

 

2019年09月13日
大雨

8/27の夜から降り続いた雨はその後も続き8/28の早朝には自宅周辺は膝下までの冠水になっていました。クリニックには歩いて向かいましたが、立ち往生している車を数台見ました。途中の兵庫南の低床公園は雨水で一杯でした。いままでも何度が満杯近くになったのを見たことはありますが、初めて一部あふれて道路が冠水しているのを見ました。クリニックには実害はありませんでしたが、スタッフも道路が冠水して当院へ来ることが出来ない状態で、急遽臨時休診としました。歩いて出てきてくれたスタッフと当日脳若クラス参加予約、漢方外来の受診予約や内視鏡予約されている方々にお電話をして臨時休診のお知らせを伝えたり、あるは患者さんから、今日はいけないとのご連絡を受けたりしていました。佐賀市内でも水ケ江付近では1階が浸水して被害があったようです。金立では水道がでず、水をもらいに行かなければならなかったと後で患者さんから聞きました。いまだ武雄などでは被害が続いているようで、はやい復旧を祈るばかりです。佐賀はいつも台風は外れるし、とのん気に構えていましたが、自然災害のリスクを実感した1日でした。自宅では水道や下水道は使えましたが、道が冠水しているだけで、生活の不便さを感じました。そして東北や熊本の被災地の方々のご苦労はいかほどでのものかと思われました。いまだ復旧していない地域の方々の日常が1日でも早くもどること祈るばかりです。写真は低床公園の普段と先日の大雨の比較写真です。パン屋くすくすさんの近くから撮りました。

2019年09月03日
サガン鳥栖観戦

8/4にサガン鳥栖のホームゲームを観戦してきました。試合前のボール投げで、ボールをゲットし気分よく試合観戦が始まりました。相手は大分トリニータでいわゆる九州ダービーでした。最下位のサガン鳥栖に対して大分トリニータは成績上位で、チームの勢いの差なのか、前半はやや押され気味でしたが、どうにか0-0で折り返しました。しかし後半早々にサガン鳥栖の安庸佑(アンヨンウ)選手の華麗なゴールで先制しました。その後同点においつかれた後、今度は大分トリニータの岩田選手のゴールで逆転されました。もうだめかと思っていましたが、終了間際に金崎選手の値千金の同点ゴールがでて引き分けに終わりました。引き分けで勝ち点1をゲットして最下位脱出です。サガン鳥栖の選手の中では後半に出場したクエンカ選手が目をひきました。そしてトーレス選手もなまで見ることができたし、楽しかったなぁ。

2019年08月05日
恩師を囲んで

83日に恩師であります神代正道名誉教授ご夫妻を囲んでの集まりが福岡でありました。

恩師にお会いできるのはもちろん、20年ほど前に一緒に机を並べた先輩、同期、後輩の仲間と会えるのが楽しみで夫婦で参加してきました。とても楽しいひと時でした。年齢のせいでしょうか?その場の話題の一つは健康の為に何をやっているかということでした。みんな健康に気を使っています。トライアスロンにはまっている先輩もおられます。若いころは飲む打つ買うという道楽が、年をとると薬飲む、点滴打つ、オムツ買うになるという小話があります。今の高齢者の方々をみても同じ70代でも、健康状態は様々です。神代名誉教授は78歳になられますが、今も週に2回はプールで1Km泳がれているとの由で、相変わらずダンディで颯爽とされています。『時間がない』を言い訳にせず、自己管理をきちんとすることを肝に銘じました。もちろんその日のおいしい食事は全部平らげましたので、翌日から気をつけることにして…。

2019年08月04日
胃癌・大腸癌検診医研修会

第154回胃癌・大腸癌検診医研修会に参加してきました。今回の

特別講演 は『ピロリ感染からみる胃がん検診:内視鏡検査を中心に』というタイトルで

国立国際医療研究センター国府台病院名誉院長 上村直実先生のご講演がありました。

私なりにお教えいただいたことをまとめてみました。

 

ピロリ菌感染()では胃がん発生は少なくピロリ感染(+)で10年間で5%の発がん

があるという報告を境にピロリ菌感染の有無を意識しての内視鏡検査が現在求められるとのお話でした。

胃がんの病態や対応

    胃がんを分化型、未分化型で分類するだけではなく胃がんの悪性度や浸潤速度による分類した検討が必要

    単一な高分化型腺がん(tub1)と中分化腺がん(tub2)が混在する胃がんは明確に区別すること

    未分化型胃がんを画一に分類してはいけない

    純粋な印鑑細胞がん(pure-sig)と低分化型腺がん(por)が混在したもの(por-sig)を明確に区別すること

    病理の組織分類を基本として臨床的な胃がん分類法の確立を臨床研究が必要

 

早期胃がんを見逃す主な原因と対策

・病変が撮影されているが、診断されていない→診断能力の向上、早期がんを数多く見る

・病変部位は撮影されているが、病変の認識がない

→撮影条件に注意+注意深い観察センスが必要

・病変部位の撮影がされていない

→手技の未熟さ、くまなく観察する方法を学ぶ

 

見逃しの少ない写真の撮り方は各人の努力が必須である。

 

観察方法

ECJから十二指腸球部に到達するまでに感染動態を把握する

(未感染、感染、既感染)

・病変があってもルーチンの撮影手順を変えない。詳細観察は最後に行う

・場所に注意した観察を(とくに体下部後壁は空気量の少ない状態で)

 

①食道:胃吻合部がん

・通常観察では見えにくい。早期により病変が明確、反転の際には近視が重要

特徴

・ほとんどが分化型腺がん

・隆起型・混合型で浸潤癌が多い

・右側とくに0-3時方向に病変が認められることが多い

一度は深吸気下で観察することが大切

②胃底腺型胃がん

・胃底腺由来、免疫染色でペプシノーゲン陽性、肉眼的には上皮性腫瘍の形態に乏しい

・粘膜下腫瘍様、粘膜表面の変化に乏しく毛細血管の拡張所見を有する例が多い

IPMNの責任遺伝子変異であるGNASmutationを認めるケースが多い

内視鏡像

1:粘膜下腫瘍様病変

2:拡張した樹枝状の血管

3:黒褐色の点状・斑状の色素沈着

4:病理診断は生検診断精度が低い為内視鏡医から胃底腺型胃がんの疑いが必要

 

③胃底腺領域の腺窩上皮型胃がんの特徴

・体部胃底腺領域の発赤調の過形成ポリープ用隆起、または白色~同色調隆起

・乳頭状ないし柔毛状の異型腺管造成を認め胃型の粘液形質を有する

NBI併用拡大観察では、不均一な大型の非開口型の粘膜微細構造を呈する

未感染粘膜にそぐわない過形成ポリープ様病変に注意

 

とても勉強になるお話でした。毎回この研修会には参加しておりますが、いつも勉強になり、検診医会会長の藤本一眞先生を始めとして関係各位の方々には感謝しています。勉強したことを糧に少しでも佐賀県の胃がん大腸がんでお亡くなりなる方を減らせるように微力ながら貢献できればと思います。

2019年07月07日
矢野博久教授医学部長就任お祝い

6/14に福岡で久留米大学病理学の矢野博久教授の医学部長就任のお祝いをいたしました。20年ほど前に一緒に机を並べて肝臓がんの研究を行った同期や後輩の先生達と楽しく過ごしました。みんないい歳になりますが、昔話に花が咲くとその時代に戻ってしまうから不思議です。私の初めての学会発表で聴衆が3人しかいなかったこと(うち2人は身内)や、飲み会での失敗談などを話をしていたら、あっという間に時間はすぎてしまいました。医学部長という要職は多くの医学部の他の教授の方々の後押しがないとなれないポジションですし、厳しい大学運営の中で中心となっていくということだと思います。責任が大きい為か、矢野先生の表情には喜色はなく、重い仕事を受けざるを得なかったという緊張感が伺われました。矢野先生どうぞ無理をなさらぬようにお願いいたします。

2019年06月24日
羽田空港で本を買いました。

羽田空港での待ち時間があり、本を買いました。今年の本屋大賞になった瀬尾まいこさんの『そしてバトンは渡された』、昨日テレビに出ていて興味を持った原田マハさんの『奇跡の人』です。『そしてバトンは渡された』は血の繋がらない親の間をリレーされ4回も苗字が変わった17歳の女の子の話でした。ありがちなつらい話ではなく、それぞれの親に愛されている話で、なんとなくホンワカした感じになる本でした。ただシチュエーションがなかなか私にはイメージできず、また少し表面的な感じがしました。速読なので、良く読み込めていないということもあります。過去の受賞作(鹿の王、蜜蜂と遠雷等)がとても良かったのでハードルを高く上げ過ぎていたのかもしれません。もう一冊の奇跡の人は日本版ヘレンケラーとサリバン先生のお話です。舞台は津軽で1歳の時の病気が原因で盲聾唖の6歳の介良れん、れんの先生となる米国で最高の教育をうけてきたが弱視というハンデをもっていた去場 安の2人が中心ですが、後に津軽三味線の名手となるキワが絡んできます。ヘレンケラーのお話はよく知られていますが、それをここまで読み応えのあるお話にしている作者の実力に舌をまきました。また全編を通して子供を思いやる親の思いを感じます。とても有名な作家と思いますが、全然知りませんでした。原田マハさんの本をいくつか読みたくなりました。

2019年06月02日
消化器内視鏡学会

ご迷惑をおかけしましたが、6/1()に東京の新高輪プリンスホテルで開催されている内視鏡学会に参加してきました。

早期胃がんに関するシンポジウムを見てきました。拡大内視鏡による胃がんの早期診断に関するシンポジウムに参加しました。現在胃がんの原因としてピロリ菌は周知され(検診でピロリ検査が含まれていることもあります)、ピロリ胃炎の治療としての除菌療法の普及に伴い、胃がんの発生頻度が下がっています。一方で除菌後に発見される胃がんは従来に比べて内視鏡検査での拾い上げが困難なことが知られています。その拾い上げに今までと比較して100倍程度のズームがきく拡大内視鏡によるNBI画像の有用性の報告がいくつか見られました。当院では苦しくない内視鏡検査を提供し、定期的に検査を受けていただくことで早期の消化器癌を見つけたいという目標があります。拡大内視鏡は口径が通常の内視鏡より大きいので、患者さんの苦痛度が増す可能性がありますが、それを抑える工夫をして、拡大内視鏡の当院での導入の検討を行いたいと思います。

医学は日進月歩であり、最近の知見に対する勉強を続ける必要性をとくに感じました。

しかし医療機器が進んでもなかなかわからないことがあります。内視鏡検査ではとくに所見がなくても、患者さんの中には胃もたれや、胸やけ、腹満感などの訴えが続く方がおられます。いわゆる機能性消化管障害という範疇になります。消化器内視鏡学会ですから、消化器内科の医師の集まりですが、やはりみんな興味があるのでしょう、困った上腹部症状への対応と題されたセミナーへ多数の参加がありました。今回のお話はどちらかというと逆流性食道炎関連に関するお話が主で、次の一手として、アコファイドや漢方(六君子湯、半夏瀉心湯)というお薬の話で勉強になりました。帰りは小ぶりの飛行機で佐賀へ。

2019年06月01日
第43回総合診療カンファランス

毎回参加させていただいている総合診療カンファランスに参加してきました。前半の症例検討では溶連菌性咽頭炎からの化膿性膝関節炎、wallenberg syn、AMA関連中耳炎というとても興味深い症例ばかりでした。

 

後半は佐賀大学耳鼻科の倉富勇一朗教授による頸部腫瘍の鑑別診断のお話でした。

以下自分の頭の整理の為に講演内容を記します。

 

頸部腫瘍としてとくにリンパ節腫脹が重要である。

 

首に腫瘤が腫れている患者さんが来た場合は

・まずこの腫瘤は頸部リンパ節腫脹なのか

・そうでなければ、耳下腺、顎下腺、甲状腺の腫瘍なのか。

・そのほかのまれな腫瘍なのか?

 

リンパ節の中で内深頸リンパ節(内経静脈周囲)が腫れているかどうかは極めて重要である。

 

リンパ節の腫れは?

内経静脈は下顎骨の内側に入るのでこの高さにでる

耳下腺は下顎骨の後ろ側にある組織なので、浅いところに腫瘍を作る。これをみたらリンパ節転移とは思わない。

 

リンパ節転移と鑑別すべき良性疾患

先天性嚢胞腫瘍

としては側頸嚢胞、正中頸嚢胞

・先天性側頸嚢胞(Max):好発年齢10~40歳、単発、薄い嚢胞壁、胸鎖乳突筋前縁に好発する(内頸静脈リンパ節の場所とは異なる)。

側頸嚢胞の鑑別に嚢胞性リンパ節転移を挙げる。原発巣としてはHPV関連中咽頭がんや甲状腺乳頭がんの転移

・正中頸嚢胞(甲状舌管)

この場所に転移をきたすものは少ない。まれにある。甲状舌管乳頭癌

・頸動脈小体腫瘍:頸動脈分岐部に発生。造影CTでよく染まる。

・神経鞘腫

首のいろんな交感神経からでてくる。交感神経は内頚動脈より深部にある。しばしば嚢胞性変化をきたす。良性なので、境界明瞭。神経を取り囲む細胞の腫瘍なので、最近は神経を残して剥離可能となってきている。

 

唾液腺腫瘍(8割が良性)。良性腫瘍の8割は多型腺腫そのほかはワルチン腫瘍

 

まずは多型腺腫かどうかを考える。悪性腫瘍の組織は術前には診断はできない。

 

ワルチン腫瘍は見た目が特徴的、つるんとした腫瘍

 

悪性腫瘍としては

・唾液腺導管がんがあり、高悪性度の癌で増加傾向

・顎下腺がん

顎下腺腫瘍の4割は悪性である。

 

頸部リンパ節腫脹の良悪性の鑑別は

疼痛、発熱、発赤→(+)良性を示唆する

硬さ、表面(平滑・境界)、可動性→硬く、表面不整、可動性不良は癌転移や悪性リンパ腫を考えるが、これらの鑑別の所見の中に、検査は入っていない。これは病歴と所見をきちんととれれば多くは鑑別できることを意味する。

結核はがんに近い。

Take home message

頸部腫瘍の鑑別では

・悪性腫瘍の早期診断が重要

・嚢胞性腫瘍にも悪性腫瘍があり、とくに中咽頭がん、甲状腺がんが嚢胞性リンパ節転移をきたすことがある。

・画像診断は造影することで充実部分の描出がでる。

・嚢胞性腫瘍の穿刺吸引では、細胞診とTG値の測定(甲状腺乳頭がんで高値)が重要

 

一般開業医の私のクリニックにも時に頸部リンパ節腫脹を主訴においでになる患者さんがおられます。私の経験した患者さんは良性で、ウイルス感染によるもと思われますが、鑑別する際に、悪性を疑うポイントを教えていただきとても勉強になりました。

2019年05月26日
オリンパス勉強会

先日オリンパスの方においでいただき内視鏡洗浄についての勉強会をしていただきました。すでに複数回おいでいただいていますが、

そのたびにスタッフには新しい発見があるようです。

 

以下スタッフからの報告です。

 

消化器内視鏡スコープと処置具の基本構造と洗浄・消毒・滅菌方法の勉強会での学び
内視鏡検査を取り巻く環境では、検査間での交差感染による患者・医療スタッフへの感染リス クが常に存在しいる。その感染を予防する対策の方法として基本的で最も重要な考えがスタン ダードプリコーション(全ての患者の血液・体液・分泌物・排泄物・粘膜・損傷皮膚を感染の可 能性がものとして取り扱う)である。また、患者に使用する医療機器や機材を生体に与えるリス クの違いにより、感染の危険性を考慮し、その程度により適切な消毒方法を決定するスポルティ ングの機器分類に沿った処理を行う必要がる。
内視鏡の感染対策というと、消毒が重要であると思われがちだが、その前に汚れや菌を取り除 くための洗浄作業を適切に行うことが重要である。適切な洗浄作業が行われることによって消毒 と滅菌が意味を成し、感染対策及び機器の故障や損傷を防ぐことにつながる。

内視鏡の構造を理解した上で、以下の洗浄消毒手順で進めていく必要がある。 1.ベッドサイド洗浄  ①挿入部外表面の洗浄 ②吸引チャンネル管路の洗浄  ③送気管路と送水管路の洗浄 2.本洗浄  ①外表面の洗浄 ②ブラッシング作業 ③ボタン類の洗浄   ④副送水管路洗浄 ⑤洗浄剤のすすぎ 3.消毒・管路内乾燥(洗浄消毒装置使用) 4.ふきあげ・保管
内視鏡を取り扱う上で、防水キャップの装着、軟性部の取り扱い、先端部への衝撃に注意する 必要がある。
内視鏡で使用する処置具は非常に微細な構造となっている。使用後は直ちに洗浄剤に浸漬、中 性で泡の立ちにくい洗剤を使用した超音波洗浄、水洗い、潤滑剤処理、オートクレーブによる滅 菌の手順で進めていく。


2019.5.20  看護師 中村るり

 

2019年05月22日
内科学会 in 名古屋②

今日は先日の名古屋で開催された内科学会で興味深く拝聴した診断プロセスの講演について書きます。

医師は一般に外来で、受診された患者さんのお話を聞き、患者さんの言葉を医療言語におきかえ、原因疾患を想起し、それを確定する診察や諸検査を行い確定したいと思っています。誤診をしたいとか、誤診をしても仕方がない思う医者などいるわけもありません。しかしシャーロックホームズやポアロや名探偵コナンのようにいつでも解決できるものでもありません。やはり失敗を繰り返して成長していくしかなく、それはどの職業でも同じだと思います。成長していく過程でなぜ失敗したのかということを自問自答します。今回はその診断という部分にフォーカスを当て、なぜ失敗するのかに関して第一線の先生たちのお話でした。またこの企画は佐賀大学感染制御部の青木教授が中心になって作られたことも楽しみにしていた理由の一つです。

東京都立多摩総合医療センター 綿貫 聡先生

①    診断プロセス総論:ピットフォールの背景因子

診断プロセスに10~15%に問題があると考えられている。

Diagnosis process error:診断が間違っている、見逃されている、遅れている。

全米医学の定義

頻度

・1年で5%の米国成人患者が経験

・マレーシアのプライマリケア診療所では有病率は3.6%

・全米アカデミーの報告書では生涯のうちにほぼすべての人が経験

 

まれな疾患や非定型的なプレゼンテーションではなく、ふりかえればなぜ間違えたのか?が多い

一般の経過:情報収集⇒情報統合⇒暫定診断⇒説明⇒follow upという経過を通る。

思考には2つあり

システム1:直観的思考、」システム2:分析的思考

 

システム1:直観的思考(潜在意識下で無意識に働く思考のショートカット)

・非典型例では診断プロセスに問題が生じやすい

・ショートカットを用いることで診断プロセスに生じるゆがみを認知バイアス

・無意識的なものであり、個人の努力のみで回避するのは難しい

システム2:分析手思考

・臓器別・病因別など、系統や手順に元ずいた診断

・様々なリソースで補助できる(語呂合わせ、ベイズの定理、アプリケーション、教科書

・短所としては時間がかかり、豊富な知識が必要となる。

 

 

実際はシステム1とシステム2をいったりきたりして診断している。

 

エラーの原因

状況要因、情報収集、情報統合それぞれがある。

 

利用可能バイアス

思い出しやすく、すぐに頭に浮かぶ疾患に囚われてしまう。

 

アンカリング(⚓)

最初に想起した疾患から離れらない。

 

確証バイアス

鑑別診断に都合の悪い情報を無視してしまう。

早期閉鎖

早々に考えることを辞めてしまう。

まとめ

・診断プロセスの問題は世界的な話題であり、日本においても同様の問題が存在している可能性がある

・診断プロセスの原因は認知心理的要因、特に情報統合の問題が最も大きな割合を占め状況要因が重なってくる

・無意識的なこれらの要因に対して、個人の努力のみで向き合うことには限界があり、組織的な対策が必要となる。

 

私自身においても、自分なりに患者さんの言葉から、想起した疾患が、そうだと思い込んでそれ以上思考を深めなかったことを反省した患者さんがおられました。いわゆる早期閉鎖です。まだまだ勉強が足りません。

2019年05月21日
内科学会 in 名古屋①

内科学会に参加してきました。

新産業革命の時代におけるリーダーシップと題して日本アイ・ビー・エム㈱名誉相談役 橋本孝之さんのご講演を拝聴しました。

 まずは今の日本の現状認識として極めて厳しい現状の提示がありました。日経平均株価は平成元年に最高額の38965円から現在は22200円と日本が40%低下している間に米国平均株価は10倍になっている。日本は人口も減り国民総生産増えず、消費者物価も増えず、借金だけとんどん増える。このままでやっていけるはずがない。平成は昭和を忘れられなかった時代であり、令和は平成、昭和を忘れなければならない時代

日本国民の74%は今の生活に満足している。 しかしこれは1400兆円の借金の上になりたっている生活であり、危機感の欠如が問題である。過去の延長線上には未来はない。時代をとらえる知性と感性が必要

では日本は何が強いのか?

・世界最先端の課題先進国であり、解決できればそれは強みになる。

・リアルが強い、それにバーチャル化を加えることでできることで新しい価値観を創造

・3方への目配り

・新しいものを混ぜ合わせる能力

今後4つのスキルが必要

・課題をみつける力(課題を解決することはできるようになっている)

・2次元のスキル(ITだけではなく、IT&医療のような)

・人工知能の利用

・古典、哲学の知識

 

繰り返し述べられていたことは

過去をすてること、つまり今までの価値観を捨てることとのことでした。非常に考えさせられるご講演でした。私事としてどうすべきなのかという考えはわきませんが、焦燥感を強く感じました。

 

2019年04月30日
病理学教室同門会

久留米大学病理学教室の同門会があり参加して、現教室員の先生たちの研究報告を聞いてきました。私が教室に居た時には多くが肝がんの研究でしたが、最近は耳鼻科領域や泌尿器科領域の研究報告があり、興味深いもので、研究の質の高さを感じました。その後の懇親会では一緒に机を並べて仕事をした、先輩、同期、後輩の医師たちと楽しく話をしてあっという間に時間が過ぎ最終のJRで佐賀に帰ってきました。勉強しなくてはと改めて思いました。

2019年04月21日
ピカピカリンク講演会

大学同期の奥平君が好生館のピカピカリンク(佐賀県診療情報地域連携システムの通称)講演会に演者として呼ばれていましたので、講演を聞きに行きました。奥平君は現在長崎で奥平外科医院を開業していますが、とくに在宅医療に力を入れていて、長崎では在宅医療のトップランナーとして活躍しています。超高齢化社会を迎え最後は自宅で迎えたいという患者さんに寄り添う医療を、いろんな職種の方々の協力を得て展開しています。通常の外来診療をやりながら、在宅医療を展開しているわけですが、昼休みや休診にした午後にコツコツと在宅医療を行っているようで、TV出演の動画では、彼のひょうひょうと在宅医療を行っている姿をみてとてもうれしく思いました。私も開業して3年目で、数人の方々の在宅医療を行っています。以前終末期の患者さんのケアに関して奥平君にいろいろ教えてもらいました。

講演会の後は奥平君を囲んで現在佐賀で働いている同期の5人が集まり旧交を温めとても楽しいひと時を過ごしました。

2019年03月20日