新型コロナワクチン接種が当院でも始まりました。
まずは医療従事者へのワクチン接種があり、当院の職員も5/22までにワクチン接種を終わりました。その後5/24より当院での75歳以上の当院かかりつけの患者さんへのワクチン接種が始まりました。まずは自分たちがワクチンを打つことで、今後患者さん達への説明の際に参考になりました。筋肉注射は思ったほど痛くないけど、接種後の筋肉痛は高頻度にありました。また確かに2回目の接種後の副反応の頻度はさらに多く、38℃を越える発熱や頭痛等がみられた職員もいました。しかしそれも3日ほどで改善し、報告通りでした。若い人に副反応の程度や頻度が多いとの由で、実際私が当院の職員ではダントツで高齢ですが、軽い筋肉痛、頭痛のみで、自分が若くないと教えられたようで少し複雑でした。5/24より開始しました75歳以上の高齢者の患者さんへの接種も1週間大きな問題なくほっと安心しております。5/27からの65歳以上のワクチン接種予約時には全く電話がかからず、また電話がかかったのは良いけど、早々に予約枠が埋まりお断りすることが多くて誠に申し訳ないと思っています。6/21(月)15:00より当院での第2次のワクチン予約受付を行いますので、どうぞご安心ください。また早めの接種をご希望の方は集団接種枠が拡大し、早期の接種が可能となっています。佐賀市のホームページをご参照ください。政府の尽力で日本にはワクチンは充分ありますので、どうぞ皆さんパニックになられないようにしてください。
またとにかくワクチンを打てば安全という訳ではなく、今までのように3蜜回避、マスク着用、手洗い、うがいの励行が最も基本であることは変わりません。無用に恐れることなく淡々とワクチン接種の順番をお待ちください。
小さなクリニックですが、佐賀県よりエール支援金を頂きました。ありがとうございました。
職員一同感謝します。頂きましたメッセージにはすこしジーンとしました。飲食業界、観光産業の方々を始め沢山の方々が大変つらい時期をお過ごしのことと存じます。どうぞ皆さまご自愛ください。
いよいよ佐賀でもコロナワクチン接種が始まります。開院以来、職員みんなで協力して、できることをコツコツとやってきました。その姿勢は変えず、コロナワクチン接種もできる範囲で協力していくつもりです。
年をとると親父が常日頃言っていた言葉をよく思い出します。『カミソリにならずにナタになれ』と父は学生達や弟子達に言っていました(父は大学で教えていましたので)。いわくどんなに切れるカミソリもさびついてしまったら使えない。さびても使い続けることのできるナタのような研究をしなさいと教え子たちに伝えていました。兄からは『医者になって、どの科に行くかを迷ったら、今流行りの科とか、稼げる科ではなくて、自分のやりたい科に行った方がいいぞ、好きなことだったら頑張れるやろ』と言われたことも胸に残っています。義父からは『開業医は常に患者さんとともに在れ』とも教えられました。その他いろんな人たちからもらった言葉が今の自分を形成しています。明日からまた頑張ります。
佐賀でもいよいよコロナワクチンの接種が始まりました。現在基幹病院の医療従事者へのワクチンは開始されており、今後は高齢者へのワクチン接種が始まります。ちなみに私達開業医はまだですが、4月末には始まる予定の様です。さていつも参考にさせてもらっている忽那賢志先生のブログよりワクチンについての記載がありましたので、要約を載せます。ご興味があるかたは本文を見てください。
日本国内で承認後に明らかになってきた新型コロナワクチンに関する最新知見
・現時点で国内で承認されているのはファイザー/ビオンテック社が開発したmRNAワクチンという種類の新しい技術を用いたワクチン。
このファイザー社のmRNAワクチンはランダム化比較試験という最も強い科学的根拠となる臨床研究によって、プラセボ群と比較して発症予防効果95%という非常に高い効果が示された。「発症リスクが、20分の1になる」とも言える。3,950人の医療従事者、ファースト・レスポンダー(救助隊・救急隊・消防隊・警察など)、エッセンシャル・ワーカーを対象に、13週間連続で毎週新型コロナウイルスのPCR検査が実施されました。
その結果、症状の有無にかかわらず、新型コロナワクチンの2回の接種から14日以上経った人は90%の感染予防効果が示された。
ワクチン接種者が感染しにくくなる、ということは、接種者がその周りの人に感染を広げる可能性が低くなる、ということ。
新たに分かったこと② 接種半年後も十分な効果を保っている
新たに分かったこと③ 変異株にも効果がありそう
新たに分かったこと④ 日本人での副反応も想定内である
特に2回目の接種後は、3割以上の人に接種翌日に37.5度以上の発熱が見られるなど、全体的に副反応の頻度が高くなっています。若い人の方が発熱などの全身症状が出やすいようです。
・またアナフィラキシーについては、海外の報告よりも頻度が高いようですが、適切に対応し軽快していることから、大きな懸念とはならないと考えて良いとのことでした。
本邦でもワクチン接種が始まる予定ですが、外来においでになる患者さん方々もワクチンへ期待と不安を口にされます。
・海外ではファイザー社のワクチンとモデルナ社のワクチンが承認され接種が開始された国が増えてきて、「発症リスクが、10分の1になる」と考えられている。
・ワクチンの効果には、発症を防ぐ効果とは別に「重症化を防ぐ効果」も期待される。
・今回のワクチンも基本的には安全性に大きな問題はないと考えられるが、どんなワクチンであっても100%安全なものはなく、軽微なものも含めるとほとんどの人になんらかの副反応は起こり得る。
・最も頻度が高い副反応は注射した部位の痛みで、どちらのワクチンも6〜9割くらいの人で痛みを訴え、特に接種後12~24時間は痛みが顕著なようである。さらに、臨床研究に参加した人の約1%が「重度の」痛みであったとのことで、インフルエンザワクチンなどと比べてもかなり痛いワクチンだと思われる。
またワクチンを接種した部位はしばらく赤く腫れ、しこりができることがある。だるさや頭痛も比較的一般的な副反応のようですが、高熱が出ることは多くはないようだ。
これらの副反応は一般的に数日以内に消失し、解熱薬にも反応する。
一般的に、副反応は高齢者よりも若年者の方が多く、2回目の接種では1回目よりも多くの副反応が起こるようである。
・最も懸念される副反応はアナフィラキシー反応などのアレルギー反応。
アメリカやイギリスで接種が始まってからアナフィラキシーの事例が報告されています。
・おおよそ10万人に1人程度と報告されています。
インフルエンザワクチンなど一般的なワクチンのアナフィラキシー反応の頻度は「100万人に1人」程度とされていますので、それと比べると頻度は高いと言える。しかし、例えばペニシリンという抗生物質では5000人に1人くらいの頻度で重度のアレルギー反応が起こるのと比べると、決して頻度が高いわけではない。アナフィラキシー反応を起こした方の多くはなんらかのアレルギーがあったようです。
71%の人で接種15分以内、86%の人で接種30分以内にアナフィラキシー反応が出現しており、ワクチン接種後30分程度は慎重に様子を見る必要がある。なお、このアナフィラキシー反応を起こした方々は皆さん退院されており、迅速に、適切に対応すれば命に関わることはほとんどない。
・アレルギーをお持ちの方は、接種するかどうか医師と相談して決めるように
・現時点でワクチンの副反応の全てが分かっているわけではなく、特に長期間経過してから明らかになる副反応については今後明らかになる可能性もある。しかし、長期間経過してから現れる副反応は稀。
・新型コロナワクチンの臨床研究は2020年の夏以降に実施されているものですので、どれくらい効果が持続するのかについては情報がない。今後明らかになってくるだろう。
・これまでに報告されているワクチン臨床試験の結果では、新型コロナの発症を防ぐ効果は示されていますが、無症候性感染(症状がないけど感染している状態)に関する情報については不足している。
・ワクチンを接種して防げるのは感染そのものではなく、症状が出ることを防げるだけで感染はしてしまうのではないかという懸念は残っている。
そういう意味では、ワクチンが無症候性感染をも防ぐことがはっきりと分かるまではマスクの着用、3密の回避、こまめな手洗いは継続する必要がある。
以上です。ご興味があるかた忽那賢志先生(yahooニュース)でぐぐってください。まずは医療従事者へのワクチン接種がそうそうに始まる予定です。日本人は完璧主義の方が多いのか、HPVワクチン接種に関しても副作用を恐れて世界からとても遅れています。リスクと得られる恩恵(ベネッフィット)の差が大きければ大きいほど良い医療ともいえます。そういう意味では今回のワクチンはどのくらい痛いのかわかりませんが、私も打つ予定にしています。どうぞ不安感を煽るようなマスコミ報道をうのみにせず、冷静にリスクをよく見極めてご判断ください。
明けましておめでとうございます。昨年は年明け早々からコロナで始まり、コロナで終わった1年でした。コロナはまだまだ治まる気配もありません。東京では医療崩壊が現実味をおびてきました。佐賀はまだまだ少ないですが、どうぞ3密を避け、会食の自粛の継続をお願いします。当院は1月4日より開院します。佐賀はまだコロナ感染は少ないのですが、風邪様症状がある方、コロナ感染された方との接触歴のある方は電話をまずお願いいたします。現在PCR検査は以前に比べて検査が容易になっています。しかしPCR検査の陽性率は7割(3割は見逃すということ)、偽陽性(本当は感染してないのに陽性にでる)もあるということを是非ご理解ください。ご不安のある方はご連絡ください。
小さなクリニックですが、今年も背伸びすることもなくできることを淡々とやっていきます。どうぞ今年もよろしくお願いいたします
福岡県でコロナ警報がでました。福岡は佐賀の隣であり、他人事ではありません。
福岡県新型コロナウィルス感染症調整本部で医療調整を行っている、九州医療センター救命救急センターの野田英一郎先生からのメールです。ぜひご一読ください。
本日、本県に福岡コロナ警報が発動されました。本来この警報は医療機関に対し、病床逼迫の可能性が出てきたため病床の拡充をお願いする目的に使われているものです。入院している患者さんの数については確保している病床の26.9%、重症病床の12.2%しかおられません(12/10時点)ので、現時点でコロナ病床が逼迫しているわけではありませんが、読んでいただいている皆さんにお願いがあります。
「今年は大勢での忘年会、会食は控えてください。」
理由は以下の通りです。例によって長文になってしまいました。ご容赦ください。福岡コロナ警報の基準である25%が意味するところは、第2波の速度で入院が必要な患者が増えた場合、1週間後には入院調整が困難となり、入院することができずに待機する人が出てくるということです。そのためコロナ警報により、今まで準備病床とされていた病床を順次コロナ専用に転換するよう医療機関にお願いしたところです。では1週間後に必ずコロナ患者さんのために空けられるかと言うと、そういう訳ではありません。それは今現在そのベッドには他の患者さんが入院しているからです。退院を早めてもらい、不急の入院を控えてもらうことでベッドに空きを作るのです。第1、2波の時は病床に若干の余裕があり、空床を準備することができました。コロナ患者さんを受け入れている病院は救急病院でもあります。どの病院もコロナ病棟以外に残された病棟で通常の入院(がんの手術や検査入院など)と救急入院(肺炎、脳卒中、心筋梗塞、交通事故など)の対応をしています。冬場はこの救急入院が非常に増える時期です。今残された病棟はほぼ満床状態で、なんとかやりくりしています。コロナウィルス感染症の厄介なところは同じ病室、病棟にコロナ感染症以外の病気の患者さんを入院させることができないことです。そのためコロナ専用病棟、病室を作らざるを得ないのですが、当然その分、通常入院、救急入院にしわ寄せが行きます。どちらの患者さんも入院する病院がなくなった時、それが医療崩壊です。入院できずに亡くなる患者さんも出てくるでしょう。治療が受けられずに病気が進行する方も出てくるでしょう。
どうすれば防げるでしょうか?
入院できるベッドを増やす?
連日報道されているように、コロナ専用病院でさえ離職者が出ています。新たにコロナ専用の病棟を増床した病院でもスタッフが集まらず苦労しています。ベッドを増やすだけではダメなんです。
唯一の方法は新規陽性者を減らすことです。どうやったら減らせるのか?当然かからないに越したことはありませんが、これだけ陽性者が増えてくると、どこでかかったのかが分からなくなります。かかってしまうことは逃れようがないかも知れません。
ただ一つ明らかなことがあります。(ヒトからヒトにうつる)感染症は「人と人が接触しない限りうつらない」、ということです(触る、触れるという意味ではありません)。人が1人で生活し、誰とも接触しなければ感染症はうつりません。と言うことは、この感染症の潜伏期間が2週間と言われていますので、今陽性となった方は2週間以内に別の方からうつされるような接触の機会があったと言うことです。同様に今から人にうつす、人からうつされるような機会が減らせれば2週間後には必ず感染は収束に転じると言えます。この原則で考えると、前回も書きましたが、第1波、第2波が終息したのは皆さんが努力して、接触機会を減らしてくださったからなのです。
ただし、この病気のもう一つ厄介なところは症状が出る前から感染力があること、症状がなくても非常に強い感染力を持った方が出てくることです。ですので、かかったから人との接触機会を減らせばいいのではなく、誰しもが接触機会を減らさなければならないのです。社会生活を送るために接触をなくすことは不可能です。ではどの接触を減らせばいいのでしょうか?
接触機会の中でリスクが高いと言われているのは、4月から言い続けております3密ですが、特に場面としては会食と考えられています。会食をきっかけに家庭内や医療機関、介護保険施設に広がっているのが今の状況です。
一人暮らしされているみなさんはコロナ禍の中、毎日1人で食事をされている方も多いでしょう。人と会って楽しい食事をすることでストレスも解消できていたところ、この自粛生活でストレスが溜まっていることと思います。もし会食をするのであれば、普段よりもテーブル数や席数を減らしたり、パーティションを設けていたり、個室のあるお店で少人数で楽しんでください。
これからの時期、例年であれば忘年会が楽しみではありますが、今年だけは忘年会を忘れてください、明るい2021年を迎えるために。
気をつけていたにも関わらず、少しでもいつもと体調が違う、と思った時には出社、登校は控えてください。そして早めに検査を受けてください。職場の方は休むことを快く認めてください。もし陽性であることが分かったら、周りの方にうつさないためにも宿泊療養施設に入所してください。職場、学校の皆さんは、早く言ってくれてありがとう、と大きな気持ちで受け入れてください。かからないように十分気をつけていたのにかかったのですから。
皆さんのご理解とご協力をお願いいたします。
新刊の岩田健太郎先生の『丁寧に考える新型コロナ』を読みました。
その道のプロのお話は得るものも多くためになりました。以下私なりの要旨を記します。ご興味のある方は是非本書のご一読をお勧めします。
・『なぜ日本では(第一波の)感染者数も死亡者数も少なかったのか』に関して
日本人の衛生意識の高さ、マスク着用率の高さ、協調性を重んじる国民性など自画自賛の情報がネットではあふれていますが、その前に日本だけ少なかったわけでもないことを明示されました。
国別の単なる感染者数の比較、人口100万人あたりの感染者数の比較、一方人口当たりの感染者数が少ない国の比較から決して日本だけが感染者数が少ないわけではないこと。
感染者数の比較に関してはそれぞれの国の検査体制の差もありますので、人口当たりの死者数での比較が重要とされました。その上で欧州・南北アメリカ大陸で死亡リスクが高くアジアの多くの国で低いことが示されています(世界で最初に感染拡大をした中国でさえ、その死亡率は低いことに驚きです)。その上で『日本だけが特化して新型コロナウイルス対策でうまくいった』と断言するデータはどこにもない。またアジア諸国、オセアニアの国(オーストラリア、ニュージーランド)が欧米諸国よりも感染対策が上手くいったのは事実である。しかし何故かという疑問に対しての著者の考えは『単純にスタート地点が違っていたから』というものです。患者が少なかった。これが日本の対策が上手くいった最大の理由とされています。確かに各地で散発的なクラスターが発生しましたが、それを追跡、捕捉することに成功し続け、プリンセス号は単に船内に隔離していたから船外に感染が拡大しなかっただけである。一方ヨーロッパ、アメリカでは初動が遅れ、スタート時点で大量の感染者が発生していたということがあげられています。
つまりアジアの文化、風土、歴史は関係なく、最大の要因は『運がよかった』ということと述べられています。
・PCR検査について
PCR検査のキャパシティとPCR検査の実施は別問題であること
PCR検査を火災報知器を例えとして、火災報知器はどこでも必要なのだが(キャパシティ)、それをどこでも鳴らすのはナンセンス(実施は感染者が多ければ沢山する必要はあるが、感染者が少なければ検査そのものが不要)ということは理解できました。
一般にPCR検査の感度は70%と言われます。つまり10人の感染者のうち7人しかPCRでひっかかりません。3人は感染しているのにPCRではひっかかりません。これが偽陰性です。つまりウイルス量が少ない場合は増幅しても一定数にならず陽性とならないことは理解できるかと思います。一方疑陽性とは感染がないのに陽性になってしまうというものです。ウイルスがいないのに陽性になることはあるのでしょうか?これは検体混入や過去の感染ですでに死んでいるウイルスを拾ったりなどの可能性があるようです。最近では体操の内村航平さんが疑陽性だったことが思い出されます。このように万能でないPCR検査をやるべきとか絞ってやるという議論はまずその前提条件を考えずに議論をすることはナンセンスということです。
・日本はどうしたら第2波(現在は第3波)に対応できるのか?という提言
『水』がコップ1杯のときはなんでもなく、バケツ1杯でもどうということはないが大雨、洪水、台風や津波になると甚大な被害をもたらす『水』同様、コロナの問題はその『量』に大いに依存する。よって大事なのは量を増やさないこと。つまり流行早期を見逃さずに察知する。察知して、検査して、診断し、濃厚接触者を探してモニターする。数が増える前に抑え込む。
PCR検査をするかしないかは状況が決める。必要があれば大量の検査を、流行が起きていなければ検査は必要なしとの著者の意見は納得です。そこで強調されていたのは事前確率の見極めです。そのために大事なのは患者さんを理解する能力、病歴聴取との意見は大いに納得です。
つまり状況判断=適切な事前確率の設定があってこそのPCRの検査の価値やマスクの必要性も意味も設定できるということです。この状況判断が今の医療機関に求められることと思います。そしてそのためには医療者は丁寧な病歴の聴取が感染症診療の基本と述べられていました。病歴(患者さんから教えていただく情報)が医療の基本ということは全くその通りだと大いに納得しました。
また感染者の発生を抑える方法は『感染経路の遮断』が一番大切で、その方法としてはマスク、3蜜回避を始めとするソーシャルディスタンス、ドアノブの消毒等繰り返しTVなどで言われていることと変わりません。私達にできることはまずは状況判断、佐賀市では現在コロナ感染の報告はわずかです。この状況で過大に恐れる必要はありません。『寒気がするから、微熱があるからコロナではないか?』と過大に心配してPCRをする必要はないのです。むろん『佐賀市はコロナ感染は少ないから大丈夫』と油断するのは厳禁です。佐賀から福岡に通っている方々も沢山いますから、福岡での感染拡大が拡がれば佐賀でも感染が拡がることは考えられます。しかし今はソーシャルディスタンスを常に意識した生活を送っている限りは現在の佐賀市でコロナ感染リスクは極めて低いという事実をしっかりと理解しておけばよいと思います。その中で微熱、咳などの症状がでればまずはかかりつけ医へ電話でご相談ください。
野村克也さんは幾多の名言を残されましたが、『勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし』という名言があります。日本を含めアジア諸国は運もあり、前半は不思議の勝ちをしたのかも知れませんが、現在のコロナ感染の急速な増加は、ある意味では負けているのかもしれません。それには理由があるはずです。基本に立ち返って無意味に恐れるのはなく正しく恐れる必要があります。いつも書いていることですが、不幸にも感染してしまった方々へのバッシングは厳につつしみましょう。明日は我が身です。
開業して4年が過ぎ、定期的に来ていただく患者さんも少しずつ増えてきました。そんな患者さんたちにときどき頂き物をします。ピーマン、ラッキョウ、玉ねぎ、お米など、これがまたおいしいのです。職員みんなとありがたくいただいています。最近は趣味で育成されている菊を頂きました。昨年もいただきましたが、入り口に置いていますので、ぜひ受診の際に見て頂ければと思います。こんなときに開業して地域のかかりつけ医という仕事を始めてよかったなぁと思います。頂き物をしたからではなく、このクリニックが地域の皆さんに少しずつ受け入れていただいていると実感するからと思います。
話は変わりますが、先日のためしてガッテンでリモート会議が盛り上がらないという話題がでていました。その際重要なのは、画面と目線が違うということと、話を聞く方のうなずきが足らないというこがあげられていました。無意識のうちにする手の動きもコミュニケーションには大事というお話もありました。『相手の目を見て話しなさい』とは子供のころから言われていたことですが、うなずきなどのリアクションがいかにコミュニケーションに大事なことかということを教えていただいたように思います。医師会が現在の医療は対面が基本で、オンライン診療は例外的なものと位置ずけているのは、対面でえられるものが多く、またそれが患者さんの満足度にもつながるという考えもあるものと思われます。しかしWith コロナの今は、今後の診療スタイルも変わらざるを得ない部分もあると思います。
地域の皆様に少しずつ受け入れていただいていることに安住せず、今後も地域のニーズに可能な限り答えていけるように努力したいと思います。
肺炎球菌は小さな子供や高齢者には重症肺炎を起こすリスクが高いとされています。また慢性的な肺疾患、糖尿病、そのほか心臓、腎臓、肝臓の疾患を持っている方や抵抗力の弱い方は重症化しやすいと言われています。ご存知の方も多いと思いますが、肺炎の原因の3割程度を占めるこの肺炎球菌に対する肺炎球菌ワクチンの定期接種が平成26年より開始され、65歳から5歳刻みの方々に公費より助成がでています。この肺炎球菌ワクチン(ニューモバックスNP)は23種類の肺炎球菌に有効なワクチンですが、その予防効果は5年で接種から5年たちますと再接種が勧められています。じつは肺炎球菌ワクチンにはもう1種類あるのをご存知でしょうか?プレベナー13といいます。こちらは乳幼児にも使えるように開発されたワクチンで、13種類の肺炎球菌に有効でうち12種類はニューモバックスNPと共通です。ニューモバックスNPはリンパ球のB細胞を刺激して23種類の肺炎球菌の型の抗体を作るワクチンです。残念ながら5年程度でこの抗体を作る力が減弱します。一方プレベナー13はリンパ球のT細胞を刺激してB細胞に必要な抗体を作らせます。これを免疫応答といいます。いわゆる戦い方を獲得するので、その効果は一生持続するといわれます。
公費助成による定期接種となっているニューモバックスNP、自費接種となっているプレベナー13どちらが優れているという訳ではなく、それぞれの長所短所がありますが、両ワクチンの接種が肺炎球菌予防には効果的とされています。ではとのような投与スケジュールがよいのでしょうか?
新型コロナ感染が世界中で猛威をふるっています。比較的患者数の少ない佐賀県でもまた第2波、第3波がくると思われます。新型コロナ感染でもっとも注意すべきは肺炎です。このため、現在皆さんが励行されている、手洗い、うがい、3密回避とともに、重症化の予防効果のあるインフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチン(2種)の接種は是非しておくべきと思われます。不明な点はご相談ください。
8月のNumberは野茂英雄さんの特集でした。1995年に矢をもておわれるように批判されながら渡米しドジャーズとマイナー契約(年棒1億4000万から980万へ)、トルネード投法で活躍し、新人王を獲得しました。いまではイチロー、ダルビッシュ、前田、大谷選手などの日本の超一流選手でMLBでも活躍するのは、日々のニュースで普通に見ることがあります。しかし今から25年前、日本人はMLBでは通用しないといわれていました。そんな中での大活躍に胸を熱くしたことを覚えています。パイオニアとしても苦労もあったと思いますが、記事を読みますと、いろんな人たちの支えがあったことがわかります。一方マスコミを中心とする彼への扱いは日本を出る際はとても批判的であったのが、彼が成功すると、とたんに手のひらを返すように変わったこともよく覚えています。寡黙な野茂さんの性格にもその一因はあるのかもしれませんが…。エスニックジョークという国民性を揶揄するブラックジョークに、日本人には『他の人はみんなやっていますよ』というと行動するというものがあります。確かに回りを見回す国民性はあります。だからこそ、その枠にはまらず孤高をつらぬいて自分の道をゆく人たちに憧れや尊敬をおぼえるのかも知れません。ただ現在の野茂さんは肥満がめだつようですので、健康管理には気を付けていただきたいものですが…。Numberは待合にありますので、ご興味のあるかたは待ち時間に手にとってみてください。
昨日は驚きのニュースが入っていきました。安倍晋三という政治家は、53歳という若さで総理大臣に昇りつめ、持病でわずか1年で突然の辞職で地獄を見た後、不死鳥のように自民党総裁に再選し、選挙で大勝した後総理大臣に返り咲きました。その後7年をこす最長政権を維持しました。国民には急な辞任表明に見えますが、ご本人は、体調不良の中、すこしでも良いタイミングでの表明だったのだと思います。2/3を超える選挙の大勝にも関わらず、憲法改正を急がず、国民に嫌われる消費税の増税を2回もやりとげるなど、民主主義を尊重し、自分の信念に対して強い意思を持った稀有の政治家だと思います。若い頃から潰瘍性大腸炎という難病と闘いながら政治家人生を送られてきました。憲法改正、拉致問題の解決など、道半ばでの辞任に忸怩たる思いがあると思いますが、今はただ、早く後継に責任を渡して一刻も早く十分な療養をしていただきたいものです。
暑さ指数をご存知ですか?暑さ指数(WBGT(湿球黒球温度):Wet Bulb Globe Temperature)は、熱中症を予防することを目的として1954年にアメリカで提案された指標です。 単位は気温と同じ摂氏度(℃)で示されますが、その値は気温とは異なります。暑さ指数(WBGT)は人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目した指標で、人体の熱収支に与える影響の大きい ①湿度、 ②日射・輻射(ふくしゃ)など周辺の熱環境、 ③気温の3つを取り入れた指標です(環境省の熱中症予防情報サイトhttps://www.wbgt.env.go.jp/wbgt.phpより)。暑さ指数(WBGT)が28℃(厳重警戒)を超えると熱中症患者が著しく増加するデータがあります。コロナで例年とは様変わりしたお盆になるかと思いますが、温暖化によると思われる8月の暑さは変わりません。8/13には暑さ指数が31℃をこえるようです。ご高齢の方々は住居内にいても熱中症が起こります。冷房の活用、定期的な飲水を心がけてください。
新シリーズの半沢直樹の第4話を見ました。日本人は昔から勧善懲悪が大好きです。古くは水戸黄門シリーズ。『人生楽ありゃ苦もあるさ~』あのテーマ曲は子供のころよく歌いましたが、いまだに懐かしく思います。現代版の勧善懲悪とでもいいますか、半沢直樹の新シリーズとても楽しみにしていました。池井戸さんの本はおおむね読んだように思います。共通するのはモノづくり日本の現場でまじめに一生懸命働く人たちへの応援歌のようにも思います。ルーズベルトゲーム、下町ロケットなど個人的にはTV番組の方がより引き付けられます。これは脚本家や一流俳優の方々の力だと思います。今回の第4話もとても引き付けられました。やられたらやり返すという激しいところが、普通の私達にはなかなかできないことなので、そのことに対する憧れもあるのかもしれません。第4話の最後に半沢直樹が職場の若い仲間に贈る言葉はとても身に沁みました。みんながそれぞれの立場で頑張ることを教えてくれたようにも思い、明日からの勇気をもらいました。TV番組で勇気をもらうのは軽すぎるといわれるかも知れませんが、根が単純だからそれでいいと思っています。
コロナの感染はとどまるところを知りません。Go toキャンペーンが今後どういう評価になるかわかりませんが、確かに仕事が激減して困っている人々も沢山おられるので、政府も苦渋の決断をされたのだと思います。総理は孤独に耐え、過大なストレスの中で執務をされていることでしょう。お身体には気をつけていただきたいものです。Withコロナの時代です。どうぞ皆さま携帯には接触確認アプリを入れて、日常ではソーシャルディスタンスをとり、こまめな手洗い、うがい(イソジンでなくて十分です)をしましょう。不幸にも感染した方々への批判は厳につつしみましょう。明日は我が身です。
緊急事態宣言解除を受け、日常がようやく帰ってきつつあるようです。しかし東京のCOVID19感染者の増加は極めて心配です。さて先週の大雨は佐賀には大きな被害をもたらしませんでしたが、熊本の球磨川氾濫により町が冠水している映像はショッキングなものでした(写真参照)。被災地の復興、この自然災害でお亡くなりなった方々のご冥福をお祈りいたします。とくに特別養護老人ホームで多数の方々がお亡くなりになったことは驚きでした。以前御高齢の方々が入所している老人保健施設で定期的に回診していたことがあります。医師の仕事は熱発者の診察や、嚥下状態の確認等、健康管理が主体でした。日々の生活はいわゆる介護福祉士やヘルパー等の資格をもつ方々の毎日の気配り、目配りなどの献身的な介護によってかろうじて維持されている状態でした。一般に特別養護老人ホームには要介護3~5の方々を中心に入所されています。いわゆるほぼ寝たきりの方々が多数おられる場所ですので、介護スタッフはどこでもギリギリの状態で現状を維持している状態です。そんな中今度の大雨による被災で多数の犠牲者をだした特養のスタッフの方々の気持ちはどうでしょう?スタッフの方々も被災されていることと思います。どうぞご自身を責めることなく、まずはご自身、ご家族の安全そして、みなさんを待っている方々のケアに専念していただければと思います。TVの報道番組で、自然災害の専門家の方が、このような自然災害に対する備えの考えを、素人の医療や福祉で働いている人たちに持ってもらうのは困難であり、自分たちがそのような場面を想定して前もっての備えを説いて回るべきだったと反省の弁を言われていたのはすごく共感しました。私達の小さなクリニックでも、実際の自然災害にどう対処するのかのマニュアルはまったくできていませんので準備しなければと思います。まだまだ雨は続くようです。どうぞ皆さま佐賀は安全と過信せずご注意ください。
昨年病理で一緒に仕事をした山口倫先生(久留米医大学医療センター病理准教授)から本を頂きました。昨年秋に出版された本です。20年前、私のいた久留米大学第一病理学教室は教室全体で肝がんの研究を主として行っていました。彼は肝がんで学位論文やそのほか幾つかの論文をHepatology という肝臓では国際的に評価の高いjournalなどに書いたあと、自分のライフワークとして乳癌の病理をコツコツと勉強していました。教室には彼に乳癌の研究を指導できる先輩はおらず、文字通り一人でコツコツと研究を続けていました。頑張っている人には手助けをしてくれる人がでてきますが、他大学の乳癌病理の高名な先生たちにも可愛がられ、なにより教室からは乳癌の切除症例の多い久留米総合病院(旧久留米第一病院)の症例を多数診断する場を与えられ、めきめきと実力をつけていきました。その彼がこの度、『乳癌サブタイプと乳腺病理』という本を書きました。乳癌は、悪性度の判断がなかなか難しいことが多い癌です。一般には癌の診断には細胞異型、構造異型という2つの尺度で判断します。1つ1つの細胞の顔つきを見るのが、細胞異型。癌も正常組織に類似した構造がみられますが、その構造が破壊されているかどうかを見るのが構造異型です。ここに免疫染色という癌が発現する蛋白を染めた標本の評価を加えてその癌の特徴を示した本です。乳癌は構造異型が比較的軽度なものが多く、癌の診断に難渋することもよくあります。病理という仕事は癌の最終判断をする仕事です。病理を知らない臨床医は病理のいうことを盲目的に信じてしまいますし、臨床を知らない病理医は標本だけ見て臨床では考えられない診断をつけたりすることがあります。人は必ず間違いをおかしますから、反省会をします。切除した症例の組織と、切除する前の画像を対比したりするのが、いわゆる術後カンファランスという反省会です。多くの大学病院や、大学病院ではなくても病理医がいる病院ではそのようなカンファランスを通常業務の終わった後に外科、内科、放射線科、病理医が集まって、その症例の検討を行い、反省すべき点は反省し、各々のスキルアップにつとめます。それが次の患者さんの役に立つと信じて。その際の病理医は最終診断者ですから裁判でいえば裁判官の役割でしょうか?しかしそのような反省会で病理医は一人しかおらず、内心は不安におののきながら反省会に参加します。そんな病理医にとって、乳癌症例では、彼の本は非常に手助けになることでしょう。また術前診断をする臨床医にとっても大きな手助けになる本だと思います。昔の格言に内科医は何でも知っているが何もしない、外科医は何も知らないが何でもする、精神科医は何も知らないし何もしない、病理医は何でも知っており何でもするが遅すぎる。今の時代にはこの格言は当てはまらないと思いますが、彼のこの本が、遅すぎるという病理医とは真逆の立場になるのではないかと思います。山口倫先生のますますのご活躍を祈念します。
政府は24日、東京、神奈川、千葉、埼玉、北海道の5都道県で続いている新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言について、25日に解除する方針を固めた。感染状況が改善傾向にあるためで、専門家で構成される諮問委員会を開き、政府対策本部で決定する。これにより、4月7日に発令された緊急事態宣言は全面的に解除となる。との報道がでています。佐賀でも新たな感染はでておらず(福岡では5/23に4人でているのが気になりますが)、新型コロナウイルス(COVID19)の脅威もようやく一段落ついたように思います。むろんこれから来るべき第2波、第3波には十分な警戒が必要です。定期でおいでになる患者さんたちも3月~5月にかけて長期処方もしていることもあり受診控えをされていました。久しぶりにおいでいただく患者さんたちは一応にCOVID19に関する不安を口にされます。TVでの報道で、高齢者でとくに基礎疾患を持っている方々がCOVID19感染で重症化するとの繰り返しの報道もその一因と思います。一般に内科クリニックに定期でおいでになる患者さんの多くは高齢者で基礎疾患を持っているからです。一方Stay homeの行き過ぎによるものか、身体を動かさず家でゴロゴロして食べてばっかりで太ったという話は笑い話としても、ご高齢の方で散歩などの自粛に伴いフレイルという筋力低下による虚弱という状態に陥ることが危惧されています。
世界的に驚異的と思われる日本のCOVID19による死亡数の少なさ(残念ながらお亡くなりになられた方々には哀悼を捧げます)の原因として日本人の清潔観念の高さが指摘されています。COVID19以前と比較してさらに手洗い、うがいの励行頻度は格段に上がっています。この意識変化は今後も続けなければいけません。
1年前の今頃、このようなことが起こると誰が予想していたのでしょうか?オリンピックが延期になるということを予想した人は皆無だったでしょう。ときには家族で外食やショッピングに行き、野球やサッカー観戦に一喜一憂する、あるいは生活の糧となる仕事があるという普通の生活がいかに幸せなことか思い知らされたこの数カ月だったように思います。
病気はCOVID19だけではありません。どうぞ皆さま今後もご自愛ください。
内科学会緊急シンポジウムを視聴しました。日本のCOVID19(新型コロナウイルス)に関しての知見が提示され非常に勉強になりましたので、私なりにまとめて記します。
日本でのCOVID19陽性者はすでに10000人を越えていますが、現時点での解析で以下のようなことが分かっています。
・性年齢分布では20代~50歳代が7割、60歳以上が3割弱、19歳以下は3.5%で男性が6割を占める。
入院経過を追えている516例の解析では有症状は436例(8割)で診断時の症状としては熱、咳(8割)、全身倦怠感(5割)、咽頭痛(3割)、下痢(2割)
重症化率(肺炎、呼吸器装着、死亡)は60歳以上と以下で大きく異なる。
リスクは60歳以上、男性、高血圧、糖尿病,脂質異常症、癌、心血管疾患の併存
COVID19と診断されたときに症状があった方々の臨床経過をみますと
潜伏期5日、発症して6日で診断され、平均16.6日で退院されています。一方COVID19陽性確認時に無症状であった方80例のうち半数は3.5日で発症し、5例は人工呼吸器管理となっています。
診断したあとのfollow upが必要でその2週間の間に急激な変化をきたすことがあることが重要。しかし8割は軽症のまま治ってる病気でもあります。
クラスター
SARSとCOVID19を比較するとCOVID19は無症候性が多い、
SARSは肺でしか増殖しなく、ほとんど重症化する。しかし肺で増えたウイルスが外に出るようなエアゾールプロシージャ―でなければ感染しない。そのためほとんどの感染が医療機関であり、また感染経路を追うことができ、封じ込めができた。
一方COVID19は重症化と感染には相関関係はなく、上気道に感染源はみられるし軽症が多い。このためSARSに比べて裾野が広い。
COVID19感染
クルーズ船、チャーター便帰国者は流行に一切つながっていない。
どのような条件下(例外的に多くの人に感染させる場)でどのような人(例外的に多くの人に感染させる人)が感染させているかを知ることが必要
3密(密閉、密集、密接)+換気量が増大する運動(ジム、卓球)、大声を出す、歌う、
1対複数の密接した接触(夜の接客を伴う飲食店:孤発例の多くはこれ)
クラスタを起こす人の多くは咳、くしゃみがなく、通常の飛沫感染ではない。
普通熱があって咳する人はジムにはいかない
どのような人がクラスタを形成?
上気道のウイルス排出量は重症例ではなく年齢に依存で高齢者で多い。
重症度とは相関しないが、むしろ症状の軽い人の方が活動的でクラスタを形成しやすい
実際にクラスタ形成の多くは咽頭痛・微熱などの軽微の症状がほとんど。短距離のエアゾルが関与していることが考えられる。
通常の風邪のコロナウイルスは10月~7月にみられる。COVID19も同様の可能性あるが…。
今医療者は2つの敵と戦っている。
1つは目に見えない新型コロナウイルス
2つ目は見えない敵が人の心(社会)につくる疑心暗鬼でそれがスタッフ、病院、COVID19感染者への言われのない誹謗・中傷
繰り返し言われていたことは。クルーズ船の受けいれした病院では二次感染は起こっていないということです。
医療者は無用に恐れるのではなくCOVID19に対する正しい理解、一般市民の方々も正確な情報を持ち、8割の接触機会を減らすこと、パニックにならず最前線でCOVID19と戦っている医療機関やCOVID19感染者への配慮が望まれます。
最後に風邪様症状がある方(とくに感染流行地域との関わりがある方)は、まずは自宅待機してください。そして4日間以上の発熱、強い全身倦怠感、呼吸苦、咳が続く場合はまずは保健所内の相談センターへ連絡して指示を仰いでください。
今日は在宅当番医でした。新型コロナウイルス(COVID-19)の感染者が増加し4/7には安倍総理大臣より7都道府県に非常事態宣言がだされて初めての日曜日の在宅ということで緊張した1日でした。風邪様症状の方々が大半でしたが、ほとんどの方が前もって電話を頂きましたので、感染リスクに応じた対応ができました。ありがとうございました。
現在国内感染者数は7000人を越え死者は150人との報道がありました。一方米国では感染者数は50万人をこえ、死者も18860人に達し、イタリアを抜いて世界最多となり、4/10には1日で2000人の死者がでています。世界中が新型コロナウイルスの脅威に脅かされています。人との接触を8割減らすことで、1カ月で収束に向かうが、7割だと2か月かかるとの報道もありました。先の見えない中で、ウイルスという目に見えない敵に底知れない不安を感じる日々をお送りのことと思います。今は第二次世界大戦以来の世界規模の戦いとも位置ずけられています。感染者のプライバシーを詮索したり、バッシングするのではなく、私たちにできることは手洗い、うがいの励行、こまめに換気をすること、人とお話をする場合はマスクの着用、可能な限り人との接触をさけて1カ月を待つしかありません。
大変お世話になった久留米大学の鶴田修教授のご講演がありましたので拝聴してきました。鶴田先生は3月に久留米大学を退官されます。3月末の退官記念式典にはもちろん参加予定ですが、昨今のコロナ関連でさまざまな集会が中止になっておりますので、記念式典がどうなるかわかりません。そこで鶴田先生の講演を聞くために今回の医師会主催の講演会に参加して来ました。この会も中止になるかと思いましたが、講演会の後の懇親会は中止で、講演のみあるとの由。仕事を早々に切り上げて鳥栖の講演会場まで雨の中を向かいました。私が2内科から1病理に出向し研究をしていたころ、鶴田先生は当時大腸で高名だった光島 徹先生のおられた亀田総合病院へ国内留学された後、久留米大学2内科へもどられていました。同時に2病理にも席をおいて、精力的に大腸がんの研究をされていました。おおむね25年以上前の話になります。そのころは消化器内科である2内科でも大腸内視鏡検査を上手にできる先生は少なく、患者さんと直接関わる臨床医の顔と、切除標本を顕微鏡で観察する病理医の2つの顔をもち、とてもあこがれたことを思い出します。私は大学での初期研修が終わり、外の病院で臨床医として働いていたときに、なかなか大腸内視鏡検査ができず、患者さんに痛い思いをさせてばかりいたのでよけい、大腸検査が上手な鶴田先生にあこがれました。講演は早期大腸がんの診断という、鶴田先生が長年取り組まれていたことについてのご講演でした。内視鏡検査機器のお話からはじまり、最近のAI診断まで多岐にわたるお話でした。Aiに関しては大腸内視鏡検査についてはそうそうに保険診療にはいってくるということ、現時点での大腸内視鏡検査でのAiはポリープを見つけると、『95%の確率で腺腫』というように、非腫瘍、腺腫、癌の鑑別が%表示できるようになっているが、今後深達度まで判断できるものができてきているとの由でした。すごいことだと思います。しかしこの基礎となるデータは鶴田先生達をはじめとする、たくさんの内視鏡医達が長年かけて蓄積したものです。Aiの話がでますといつも思いますが、Aiをどのように活用するか、そしてAiに取って代わられない自分にしかできない何かを持つ必要性を感じます。
1/26にアクロス福岡で開催された内視鏡学会主催のセミナーに参加してきました。昨年も参加しましたが、とても勉強になったので、今年も参加してきました。朝9:00~16:00までみっちりと詰まったレクチャーを受けてきました。食道、胃、小腸、大腸、肝胆膵それぞれの分野で現在売り出し中といいますか、油の乗り切った先生達のレクチャ―でした。とくに勉強になったのは咽頭がん、食道癌の内視鏡診断についてです。咽頭がんというと耳鼻科領域のがんになります。しかし咽頭癌の発見契機(T1.T2症例)は耳鼻科内視鏡と消化器内視鏡では16% 84%であり、耳鼻科より消化器科による内視鏡によるものが断然多いことに驚きました。早期の咽頭がんは内視鏡医が一生懸命みつけないといけないということを力説されていました。次ぎに咽頭がん、食道癌はとくにハイリスクの方々を注意して観察ることがポイントです。ハイリスクは当然のように飲酒です。内視鏡治療ができる食道癌は通常観察ではみつけることは困難。発赤、浅い陥凹、微細な顆粒状変化がみられ、そこにNBIという画像強調画像を利用して内視鏡検査を行うことで検出率があがります。上部消化器内視鏡(胃カメラ)を患者さんに挿入する際に、患者さんが最も苦痛を感じるのは舌の奥の咽頭、喉頭、食道入口部です。ですから内視鏡医としてはここをいかに患者さんに苦しくないように通りすぎて食道に入れるかということに気持ちが集中します。しかし現在はそれに加えてその場所に早期の咽頭がんがないかどうかにも気を使わねばなりません。気がひきしまるレクチャーでした。明日からの診療に役立てるようにしなければと思いました。