大腸内視鏡検査は、大腸(結腸)を内側から直接見ることができる検査法です。
検査を行うために、内視鏡を注意深く肛門を通して大腸に挿入します。大腸内視鏡検査に使用する器械は柔らかく、人差し指ぐらいの太さです。内視鏡の先端から明るい光を発して、大腸の内部を鮮明に観察し、病変があるかどうかを調べます。場合によっては、粘膜の表層の一部を採取して顕微鏡で細胞を観察する生検と呼ばれる検査を行うこともあります。
生検は、内視鏡を通して小さな組織片を、なんの痛みも感じることなく採取できます。また、大腸内視鏡検査中にポリープを切除することも可能 です。ポリープは、いぼの様な形をしており、粘膜が異常に増殖したものです。内視鏡で切除した場合には詳しく顕微鏡で検査します。
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検査をおすすめする症状
・血便が出る
・便通の異常(便秘、下痢)
・腹痛、膨満感
・体重が急に減った
・便が細くなった
・排便の回数が増えた、排便後もすっきりしない
大腸カメラで分かる病気
・大腸がん
・大腸ポリープ
・潰瘍性大腸炎
・クローン病
・大腸憩室症
・虚血性大腸炎
・直腸カルチノイド
・大腸脂肪腫
大腸がんは急激に増えています
近頃の日本では、食生活や生活スタイルの変化などにより大腸がんになる人が急激に増えています。特に女性ではがんの部位別の死因の第一位 は大腸がんです。大腸がんは初期症状に気づきにくく早期の発見が難しいといわれています。しかし、早期発見できれば完治する可能性が高い ため、症状の有無にかかわらず、定期的に検診を受けることが大切です。
当院の大腸カメラの特徴
消化器内視鏡専門医による丁寧な検査
当院の内視鏡検査はすべて、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医が行っています。苦痛の少ない内視鏡検査を提供し、より多くの方に検査を受けていただけるよう努めています。
苦痛の少ない検査のために
おなかの痛みに関しては、個人個人千差万別です。
内視鏡を不用意に押し込むことで腸管が引き伸ばされ痛みが出る場合がありますので、当院では可能な限り腸管を伸ばさないように、腸管をアコーディオンカーテンのようにたたみながら、内視鏡を挿入することを意識して行います。手術歴のある方は腹腔内が癒着していることが多く(婦人科手術後の方に多い)、その場合は術者がどんなに注意しても痛みが出ることはあります。
内視鏡検査が不安な方、痛みに対してトラウマが強い方などには、鎮静剤を使用してウトウトしている間に検査を行う ことができます。身体的にも精神的にもリラックスして検査を受けていただけます。当院では職員の技術研修と安全な沈静剤の使用を併用し、患者さんに合わせた検査法で苦痛の少ない内視鏡検査 を目指しております。安心してご相談ください。
浸水法について
また当院では、浸水法を使って検査を行っています。
カメラの挿入時に、少量の水を流し込みながら、空気を入れずにスコープを進めていきます。腸の中に水があるため、摩擦抵抗が減り、スムーズにスコープを入れる ことができます。腸が伸びたりねじれたりすることなく、お腹の張りも感じないため、苦痛が少ない検査を可能にしています。
高性能内視鏡システム導入
当院では、早期がんなどの微細な病変を早期発見するために、非常に有用なLCI(Linked Color Imaging)・NBI(Narrow Band Imaging)・BLI (Blue Light Imaging) システム搭載の高性能内視鏡を導入しています。
それぞれに特徴があり、併用しながら病変を詳しく観察します。早期がんの兆候である炎症などの病変や、がんの進行度などを見逃さない内視鏡検査を実現しています。
LCI(Linked Color Imaging)
LCIとは、短波長狭帯域光と色調拡張技術を組み合わせることによってわずかな色の差を強調する技術です。LCIでは410nmの狭帯域光が腫瘍病変血管が赤く、より深層の炎症の血管が紫に反射して見えます。反射した光がプロセッサーにより色分離を行うことでより境界が明瞭化され、視認性が向上されます。このため炎症粘膜は紫、腫瘍粘膜は赤く見え、また胃がんのハイリスク因子である胃の腸上皮化成を通常光観察に比べて優位に拾い上げることが報告されています。
NBI(Narrow band imaging)
NBIとは、2つの短い波長の光(415nm/540nm)を粘膜に当てることによって、粘膜の微細な表面構造や粘膜表層の微小血管像を映し出す技術です。
BLI (Blue Light Imaging)
BLIとは、LED光を当てて観察します。白色光と短波長狭帯域光を生成し、照射した光と画像処理を組み合わせることにより、微細な血管や表面構造などの観察に適した画像を表示します。
炭酸ガスによりお腹の張りを解消
検査中、検査後のおなかの張りは腸の中を観察する際に空気を入れて膨らませて観察するためです。従来は観察後はこまめに空気を抜いておなかの張りを軽減するようにしていました。
しかしヒダに隠れたポリープを見逃さない為にはどうしてもある程度の空気を入れざるを得ません。このため当院では内視鏡用炭酸ガス送気装置 (OLYMPUS UCR)を導入しております。これは内視鏡を使って、消化器管腔内に炭酸ガス(CO2)を送気できる装置です。これまでは、空気を送っていたのですが、送気された炭酸ガスは、空気と比べて生体吸収性に優れていることから、拡張した腸管を速やかに収縮させ、患者さんの膨満感からくる苦痛を緩和 してくれます。従って、検査後、お腹が張って苦しいなどの頻度は依然に比して非常に少なくなっています。
安全の内視鏡消毒システムを採用
感染防止対策として、日本消化器内視鏡学会のガイドラインに準じて、検査ごとに内視鏡の洗浄・減菌・消毒作業を徹底的に行っています。
大腸カメラの流れ
1. 前日
前日の夕食は消化のよいものをとるようにしてください。 前日は21時以降は固形物は口に入れないように してください。飲水やお薬の内服は構いません。21時に下剤を内服 します。
当日朝、絶食で(内服薬は心臓のお薬や降圧剤は内服されてください)おいでください。
※当院での検査が初めての方はお薬内容などを前もってお教えください。
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2. 受診受付後
検査前待合室にお通しします。リラックスしてお待ちください。
問診表の記載をお願いします(身長、体重、薬のアレルギーの有無、現在内服されているお薬、定期的に加療されている疾病、過去の手術歴、過去受けられた内視鏡検査についてなど)。
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3. 前処置
腸管洗浄液を飲みます。(1Lの腸管洗浄液+0.5~1Lのお水(お茶))
10~20回排便して、黄色の液のみになれば検査を開始します。
鎮静剤を使用する場合は、ここで鎮静剤を投与します。
腸管洗浄液に関して
一般的に当日朝2Lの腸管洗浄液を飲み、排便を繰り返しますが、この腸管洗浄液が塩水のような味で1L以上飲むと、飲めないと言われることが多くありました。私自身も定期的に大腸検査を受けていますのでわかりますが単一な塩水のような水を2Lも飲むのは苦痛と感じる方は多くおられました。しかし最近の腸管洗浄液は少し味が飲みやすく なり、また飲水する量も1Lで残りの1Lは水でもお茶でもよい というようになり、以前に比べると腸管洗浄液を飲めないという方は減っています。しかしいまだに大腸検査を受けた方々で最も苦痛だったというのは腸管洗浄液の飲水で、今後さらなる腸管洗浄の進歩が望まれています。
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4. 検査
大腸~直腸を観察します。
検査中にポリープが見つかった場合は、その場で切除することも可能です。その後顕微鏡で詳しく検査を行います。
ポリープ切除がなければ、検査は、15〜30分で終了 します。
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5. 検査後
検査後は、リカバリー室で30分から1時間程度、安静にしていただきます。気分が悪くなったら、すぐにスタッフへお声かけください。
検査当日は、お車などの運転、飲酒や激しい運動はお控えください。
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6. 説明
撮影した画像を見ながら、医師が検査結果をご説明いたします。
検査時に組織を採取した場合は、後日病理結果が出てからのご説明となります。
治療が必要な場合はその内容や計画について、次回の検査時期についてなどもお話いたします。
日帰り大腸ポリープ切除術について
大腸ポリープは、大腸の粘膜にできた良性のできものですが、放置して大きくなると大腸がんになってしまいます。大腸がんの予防のため にも、ポリープのうちに切除してしまうことが大切です。内視鏡検査で、切除可能なポリープが見つかった場合、その場で切除することができます。入院の必要もなく日帰り で行うことができるため、お忙しい方でも安心です。
ポリープ切除術を行った方は、1週間程度は消化の良い食事メニューを心がけ、水分をたっぷり摂るようにしてください。また、激しい運動、飲酒、旅行も1週間程度は控えていただき、入浴もシャワー程度にとどめてください。
出血リスクが高い場合や、ポリープの数や大きさなどによっては入院が必要になる可能性もありますので、その場合は連携医療機関と協力して治療を進めていきます。
大腸カメラの予約について
お電話にてご予約を承っております。
時期によっては検査が混み合い1~2か月待ちになることもあります。ご予約はお早めに。
急を要する症状がある方は、診察後に予約外での検査に対応することもありますので、まずは受診ください。
予約の前に(日程をお決めいただく際の注意事項)
検査日は丸一日予定が入っていない日にしましょう。
急患等により、検査時間が大幅にずれ込む場合があります。
検査薬等の影響で、検査前後に体調不良をきたす場合がございます。
組織生検をした場合は、検査当日の刺激物の摂取&激しい運動は控えていただきます。
大腸カメラの場合、便がキレイになるまでは検査ができません。また、ポリープ切除日はご自宅で安静が必要です。
検査前日は食事内容の制限があります。会食や飲み会の日は避けましょう。
前日は丸一日、低残渣食としていただきます。便秘の方は、数日前から低残渣食を心がけると良いでしょう。
(ポリープ切除を希望される場合)検査日から1週間、運動・力仕事・遠出・飲酒等の予定が入っていない事を確認しましょう。
行動制限を守り、ポリープ切除後出血をしっかりと予防しましょう。
検査の結果、ポリープ切除がなければ行動制限はかかりません。
検査1週間前までに、事前診察の来院をお願いします。
お薬手帳や健診結果等あれば、必ず持参ください。
Q&A
検査前の食事は?
検査前日
丸1日、低残渣食(腸にカスが残りにくい食事)を食べます。ご自身で用意されても、検査前食(レトルト)を購入されても構いません。便秘気味の方やご高齢の方は数日前から、低残渣食を意識されることをおすすめします。
検査当日
検査終了まで絶食です。
検査当日、(受付から会計までの)所要時間は?
腸管洗浄剤服用を含め、丸一日かかります。
当院では鎮静剤を使用しますので、検査後1時間程度ベッドで休んでいただきます。
急患対応等で、予約時間より検査開始が遅れる場合があります。
特に大腸カメラは、(他の患者様の)ポリープ切除術が入ると検査開始時間が大幅にずれ込む可能性があります。
※検査自体の時間(内視鏡挿入~抜去まで)は、15~40分程度です。
帰宅後はすぐに仕事ができますか?
基本的に検査は夕方までかかります。また当院では鎮痛剤・鎮静剤を使用しており、稀に検査後の気分不良を生じる方がいます。当日はお仕事に限らず予定は入れられないと思ってください。
もし早く検査が終わった場合、検査後数時間はゆっくり過ごし、その後気分不良等なければ、激しい運動などを除き体調に留意しながらお仕事をすることは差し支えありません。
ただし大腸ポリープ切除術を受けた方は、検査当日は自宅で安静に過ごしてください(原則外出禁止)。
検査後の(食事・行動)制限はありますか?
組織検査や大腸ポリープ切除術がなければ、特に制限はありません。
組織検査(生検・粘膜培養検査)をした方
検査当日の激しい運動は控えます。
検査当日は刺激物(辛い物・味が濃い物・酸味が強い物等)やアルコールの摂取を控えてください。
大腸ポリープ切除をした方
検査当日は自宅で安静に過ごしてください(原則外出禁止)。
検査後1週間は、運動・力仕事・出張や旅行等の遠出・温泉等の長湯、を控えます。
お食事も1週間は、刺激物(辛い物・味が濃い物・酸味が強い物等)やアルコールの摂取を控えます。
自宅で腸管洗浄剤服用中に具合が悪くなったら?
腸管洗浄剤の服用により、腹痛や吐き気、嘔吐、寒気などの症状が出る場合があります。
気分不良を生じたら、直ちに腸管洗浄剤の服用を中止します。同居家族等、周囲の人に体調が悪いことを伝え、極力一人で過ごさずに見守ってもらいます。
9時から診療を開始しますので、早めに受診またはお電話ください。
※9時まで待てない程症状が強い場合 (例)激しい腹痛や嘔吐等で受け答えが困難 、気を失いかけている等救急車を呼んでください。可能でしたら当院の留守番電話にメッセージを残してください。
1人暮らしですが、腸管洗浄液は自宅で飲めますか?
服用中の急な気分不良に対応できるように、家族やお友達に連絡がとれる状態にしておきましょう。
ご自宅での服用が不安な方、遠方からご来院の方は院内での服用も可能です。また、年齢や基礎疾患、症状等により院内服用をお願いする場合もあります。
どうやったら便がきれいになりやすいですか?
腸管洗浄剤で大腸がキレイになる原理は、ずばり“水で腸が洗い流される”です。
腸管洗浄剤服用により、体内の水分が腸に集まり、便を洗い流してくれます。そもそも体内の水分量が少ないと、洗い流す効果が十分でないどころか、脱水を引き起こし体調不良になりかねません。
・検査前の食事内容の制限を守り、腸のカスを減らしておくこと
・検査の前から便通を整えておくこと(宿便を無くしておく、便を軟らかくしておく)
・検査の数日前から水分をしっかり取っておくこと(1.5~2L/日を目安に)
この3つが便をきれいにするポイントです。
便秘症の方は、検査前に下剤を処方しますのでご相談ください。
腸管洗浄剤の味が苦手です。
腸管洗浄剤をいくつか準備しています。事前説明の際に看護師にお伝えください。味の違うものや、錠剤タイプもございます。
腸管洗浄剤の味に飽きて飲み進められない。
腸管洗浄剤と一緒に飲む水分は、糖分や甘味料が入っていなければ、種類は問いません(ウーロン茶、紅茶、ジャスミンティー等可)。また、キャンディ(ミルクが入っていないものに限る)を舐めていただいても大丈夫です。
拘束時間が長すぎます。
大腸カメラはポリープ切除術の有無等により、一人当たりの検査時間が15分~40分と差が大きく、どうしても検査開始時間が読めないのが現状です。待ち時間が長い場合は、一旦外出していただくことも可能です。本や雑誌等時間つぶしのグッズの持参をお勧めしております。ご理解の程宜しくお願いします。
また便がきれいになっていなければ検査を行うことができず、便がきれいになるまで腸管洗浄剤服用の追加をお願いしています。便が多量に残っていると、検査中の痛みの原因なり、病変があった場合の処置も困難になります。安全に検査を行うためですので、ご協力をお願いします。
検査は痛いですか?
お腹のつっぱりや張り等、痛みを感じる場合があります。痛みを緩和するために当院では鎮痛剤、鎮静剤を使用し、検査を楽に受けていただけるようにしています。
鎮静剤を使えば、完全に眠れますか?
個人差があり、完全に眠ってしまう方も多いですが、途中で目覚める方もいます。
鎮静剤は検査を楽に受けていただける事を目的として使用しています。途中で目覚めても、楽に検査が進むようならお薬は追加しませんが、痛みや苦痛があれば追加投与することもあります。