肝癌対策研修会

2/16の肝がん対策研修会に参加してきました。同じ医局の先輩である久留米中央病院の板野哲先生と、久留米大学消化器内科教授である黒松亭子先生のご講演を拝聴しました。板野先生は進行肝がんに対する極めて専門性の高い治療の実際のご講演でした。黒松先生のお話は実地医家である私たちも知っておくべき肝がんのお話でした。以下自分なりに要点を記します。

 直接作用型抗ウイルス薬(DAA)によりC型肝炎が完治するようになりました。しかしSVRというC型肝炎ウイルスが検出されなくなった後でもしばしば肝がんが発生しており、慎重な外来管理が必要であること。とくに肝硬変、男性、高齢の方は注意が必要。

生活習慣病の肝臓の表現型であるNAFLD(従来の脂肪肝)、NASH(脂肪性肝炎)が現時点ではB/C型肝炎の患者さんと同数程度(300万人)があるが、増加の一途をたどっていること。すでに肝がんの原因としてはNBNC(非B型/非C型肝炎:NASH, アルコール性等)がB/C型肝炎由来より多くなっているということ。

実地医家の私たちがすべきことは現在フォローしている生活習慣病の患者さんの中で脂肪肝の患者さんを拾い上げてきちんと診ていくこと。肝機能の異常値が少ないので、とくに肝臓に繊維化のあることが推察される血小板低下傾向を見逃さない。Fib4 index(>1.3)を活用すること、エコーを定期的にすること。少量飲酒でも繊維化は進むことが推察されており、しっかりと禁酒を指導すること。肝がんマーカーとして肝機能が良好な方にはAFPが高値を示さないこともありPIVKA-IIのチエックも推奨されていました。

当院では現在B型肝炎やC型肝炎の患者さんは少なく、エコーで肝がんを見つけることが少なくているような気になっていました。一方高血圧、脂質異常症、糖尿病を主とする生活習慣病の方々は多く、その方々にも範囲を広げてエコーをすべきと反省しました。とても勉強になる講演でした。

 

2024年02月18日