がん10年生存率58.9%

全国がんセンター協議会(全国のがん専門医療施設が、がんの予防、診断、治療等の向上を目指して1973年に設立)ががんの生存率に関して新たなデータを公表しました。この全国がんセンター協議会は全国のがん専門医療機関32施設が加盟するネットワークとして活動しています。九州では九州がんセンター、好生館、大分県立病院と3施設だけです。今回の報告では、がんの生存率が0.6%引きあがったということです。
加盟施設において2011~2013年に診断された約15万人の5年生存率、2005~2008年に診断された約12万件について10年生存率を算出されています。この集計をもとに約30種類のがんについて生存率を出しています。当院は消化器内科ですので、どうしてもそちらに目がいきます。胃がんは5年生存率、10年生存率がそれぞれ68/55.3%で、前回が67.6/53.7%, 大腸癌は70.4/58.1%で前回が70.3/56.5% とともに予後は改善しています。そのほか多くのがんで予後の改善が見られています。これは現在の治療法や抗がん剤の進歩により、今後さらに生存率が伸びていくとのコメントがありました。喜ばしいことだと思います。しかしデータをもう少し詳しくみると、肝臓がん、胆のうがん、膵臓がんの予後が悪くいことがわかります。膵臓癌に至っては11.3%ときわめて低い値を示しています。またほとんどのがんにおいて病気分類であるステージがI, IIと比べてIIIが差が大きく、IVはさらに低値をとっていることがわかります。臓器毎に詳細は異なりますが、イメージとしてはステージI, IIはがんが発生した場所に留まっている、ステージIIIは周囲臓器や周囲リンパ節に及んでいる、ステージIVは遠隔転移をきたしているような状態です。

いかに早く見つけるか、そして加療のできる後方病院へスムーズに紹介するのかということが、当院のやるべきことと考えています。

2021年11月15日