11月21日に毎回参加しています総合診療カンファランスに参加してきました。今回は整形外科関連のお話で、講師は佐賀大学整形外科講師の森本忠嗣先生でした。森本先生の熱い気持が伝わるご講演でした。取り留めのないまとめですが、自分なりに教えていただいたことを記載します。
骨粗鬆症
椎体骨折:早期からコルセットなどで治療しても37%はつぶれる、14%は偽関節になりBKPの加療適応、3%は神経障害がでて手術になる。
*BKP(セメントを入れる手術:偽関節の治療に有効、1cmの切開でよい)。高齢者への手術はリスクがある。手術しても固定が外れることがある。
認知症のリスクもあがる。早期からの加療が望まれる。
骨粗鬆症
患者数1280万人(10人に1人) 治療中280万人
女性5万人のアンケートでは骨粗鬆症で受診する科目で内科は18%
佐賀県入院医療費の中身で、運動器疾患の費用も多く、1人当たりの入院医療費は佐賀は極めて高額であり、早期の取り組みが必要である
骨
骨の役割は進化の歴史 外骨格⇒内骨格
海綿骨が多い脊椎、手足は皮質骨が多い。
海綿骨が多いと折れやすい。
骨折は圧倒的に椎体が多い(海綿骨が多い骨、上腕や足の付け根の骨)
海綿骨の役割:カルシウム、リンの貯譲基地
リモデリング
血液の中のカルシウムを骨に蓄える:骨芽細胞の役割
必要時に血液に戻す:破骨細胞の役割
カルシウム:骨が99%、血液や細胞で1%
骨はリモルデリングをたえず行っている(新陳代謝)
骨が古くなったら、骨の中の細胞がrankleを出して破骨細胞の分化誘導して、古い骨を壊し、壊れたところで、骨芽細胞が骨を作る
破骨細胞期:吸収層
骨芽細胞気期:形成層
骨粗鬆症:吸収層が延長し、形成層が短縮 もしくはこのサイクルが亢進している。
血管が多いのは海綿骨、血管が多いところでリモデリングを行っている。
女性:閉経でエストロゲン(骨芽細胞、破骨細胞の制御を行う)が低下する。
60.70代では腎機能低下、ビタミンDも低下
骨粗鬆症の加療としては食事、運動、薬物が挙げられるが、今回は薬物療法のお話
薬物療法
全体的に椎体骨折が多いが70を超えると大腿骨の近位部骨折が吹てくる。
70才未満は椎体骨折をターゲットにSERM/Vit D
70才以上では大腿骨骨折をターゲットにビスフォスやデノスマブを使う
骨密度が低い症例はデノスマブがよい
ダイドロネートの骨吸収抑制を1とすると
フォッサマック100~1000
リセドロネート:1000~10000
ボノテオ、リカルボン1万以上
骨の表面しか届かない。
プラリア:抗rankle Ab 血流にそって皮質骨のおくまで入っていく
皮質骨を増やすのはビスは強くない、このときはプラリアがよい
椎体骨折の予後不良因子:偽関節などを作る
初期固定が悪い方
早期診断、早期治療が大事である
・高齢者の急性腰痛(5人に1人が椎体骨折)
・叩打痛
・寝起きが痛い、たってしまうと楽
椎体骨折:感度はレントゲン50% CT70% MRI 99%
保存療法は臥位はいけない。つぶれる骨折部が臥位で開くので、偽関節を作ってしまう。
ギャジアップして側臥位
織田病院でパスを作成3日して痛みがなければリハビリを開始している。従来2週間も寝かしていたが痛み(-)のPtもいるので、変更した。その後骨折で織田病院から医大へ転院するPtは減った。
骨転移
すべての癌で予後は改善している。このため仕事しながら通院しているPtは33万人
とくに癌の脊椎転移の手術はリスクが伴う。神経損傷や血管損傷を起こすことがある。
安全のためにも、早期に整形外科に回してもらう必要がある。
骨転移の有害事象
骨折は治る、麻痺はなかなかもどらない。
転移性脊椎腫瘍で手術は10%程度、
最近はMIST (小さな皮膚切開での手術)が可能となってきている。
骨転移が1か所しかない場合は転移層も含めて切除することが可能となっている
骨修飾薬
早期に整形外科が介入することで、患者さんのQOL向上が見込める。
佐賀大学でシステムを作った。
放射線科で骨転移Ptの拾い上げで、整形への連絡や、主治医への整形コンサルトを勧めている。早期の骨修飾薬(ランマーク)は効果的。放射線治療も効果がある症例もある。
リハビリ:急な動作、ねじり動作、重いものを持つなどは注意で冊子を作製し、リハビリの介入も促す。
各科横断でのシステムを作った後は麻痺を起こす前に手術をすることができるようになった。
今後同様なシステムを佐賀の他の病院へ拡げていく予定。