興味がある講演でしたので7月8日にニューオータニ佐賀で開催された佐賀県臨床外科医会講演会に参加して講演を聞いてきました。
講演1:好生館病院消化器内科緒方伸一先生によるピロリ菌による胃炎分類のお話
胃炎の京都分類についてのお話で、胃炎を原因によって分類し、胃がんリスクを評価するというお話です。現在胃がんは年間5万人弱の方々の死因となっており、高リスクの方々をピックアップするという考え方は大事です。無症状もしくは軽度の自覚症状の方々をスクリーニングで上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)をすることの多い当クリニックでもきもに命じる必要があります。ピロリ菌と胃がんの関わりには既視感がありました。25年前に非A非B型肝炎の主たる原因の多くがC型肝炎ということがわかり、C型肝炎ウイルスをお持ちの方々を3~4か月毎にエコーでフォローすることにより多数の肝がんの拾い上げがなされていったことが思い出されます。難治性だった慢性C型肝炎も今は内服薬でほとんどの方々が治癒できる時代になりました。ピロリ菌はC型肝炎ウイルスに比べればはるかに容易に、低コストで治癒します。ただピロリ菌を除菌した後の胃がんリスクは減りますが、除菌後にできる胃がんを内視鏡検査で発見することが困難な患者さんが多いことが次の問題です。エコーで必死に小さな肝がんを見つけようとしていた、先輩の姿を思い浮かべました。
講演2:長崎大学移植外科の江口晋教授による肝移植のお話でした。肝がんや肝硬変の末期の方々を対象に施行される肝臓移植ですが、5生が60%を越えていることには驚きです。また講演の後半では江口教授が冷や汗をかいた症例の提示がありました。症例の画像を見ているこちらも冷や汗がでるような症例でした。内科医でオペ室に入った経験は少ないですが、オペ室での執刀医のストレスは過酷なことが推察されました。