診療について

はじめに
医師となったからには、目の前の患者さんの病気を的確に診断し、治療へ進みたいと思います。そういう意味で、一般外来を担当する多くの医師にとってはまずは診断をするというのが最初の目標になります。基本は同じですが、この点は一刻を争う救急患者さんを診ている救命センターや高度な専門治療を主体とする病院の医師とは少し異なることがあるかもしれません。
診断をする上で、Common is commonという考えがあり、Common diseaseと言われる一般臨床でよく経験する疾患をまず想起すること、次に比較的まれな疾患でも見逃すと患者さんに大きな障害を来す可能性のある疾患を見逃さないようにするということを教育されます。簡単ではないですが…。
一般的には初めての患者さんを診察する際に、患者さんが受診された理由を詳しく聞くことから診察は始まります。これを問診といいます。
まずは主訴(患者さんが最も困っていること、今回受診した一番の理由など)、そしてそれに関連したお話(現病歴)を聞くことから診察はスタートします。そこでここでは消化器内科に受診される患者さんの主訴として頻度の多いものについて記します。これはあくまで一般的なものであり、すべての方に一律なものではありませんので、参考程度にお読み頂き、当てはまることやもっと詳しくお知りになりたい場合は当院もしくはかかりつけ医、あるいはもよりの病院へ直接ご相談ください。
ちなみに消化器内科とは
人は口からご飯を食べて、食道→胃→小腸(4〜8m)→大腸(約1m50cm)を通って肛門から便を排泄します。このご飯が通っていく臓器を消化管といいます。一方食べたものは消化管の中を通りながら、消化、吸収されていきます。消化吸収には肝臓、胆嚢、膵臓等が関与しており、それらの臓器を消化管も含めて消化器といいます。これらの内臓の疾患を専門的に診るのが消化器内科という科になります。
ちなみに五臓六腑と言われる内臓の中で、心臓と肺を除いた内臓が守備範囲になります。

消化器内科

消化器内科は、食道から大腸までの消化管と、肝臓・すい臓・胆のうといった多くの臓器の病気を専門に扱う診療科です。

おなかが痛い(腹痛)

腹痛の場所がひとつのヒントになります。腹部内臓のシェーマを参照ください。腹部を小さくは9つ、大きくは4つに分けて考えることが多いので、それぞれの対応する臓器の中で頻度の多い疾患、そして見逃してはいけない疾患を想起します。
1.右季肋部 肝臓・胆道系疾患、胸膜疾患
2.心窩部部痛 食道疾患、胃十二指腸疾患、心疾患、膵疾患
3.左季肋部
脾臓疾患、胸膜疾患、心臓疾患、膵疾患小腸・大腸
4.右側腹部
疾患、胆道疾患、腎臓・尿路系疾患
5.臍周囲
小腸疾患、大動脈疾患
6.左側腹部
小腸・大腸疾患、腎臓・尿路系疾患、脾臓疾患
7.右下腹部
小腸・大腸疾患、虫垂炎、尿路系疾患、
精巣及び付属器疾患
8.臍下部
小腸・大腸疾患、婦人科系疾患、膀胱疾患
9.左下腹部 小腸・大腸疾患、尿路系疾患、精巣及び付属器疾患
(動脈疾患、腹膜炎などは場所は様々です)
おなかが痛い(腹痛)
まずは上記のような疾患を想起しながら、さらに詳しくお話しを聞いて疾患を絞り込んでいきます。さらにアレルギーの有無、常用薬の内容、既往歴(過去にかかったあるいは治療中の病気)、食事内容等も伺います。その上で腹痛の原因検索の為の検査を計画していきます(レントゲン、血液検査、心電図、腹部超音波検査、上下部消化管内視鏡検査等)。お話を聞いただけ、あるいは検査をしたら一発で診断ということは逆に少なく、診断に難渋することもしばしばあります。腹痛でお困りの方は是非ご相談ください。

むかむかする、吐いてしまう(悪心・嘔吐)

一般に「むかむかする、吐いてしまう」という症状がある場合の7割は消化器の病気という報告もあり、まずは消化器の疾患なのか、消化器以外の疾患なのかが大事なポイントです。消化器以外の疾患の中には頻度は少ないものの緊急性を有する脳疾患(くも膜下出血、脳出血、髄膜炎等)や、心臓疾患(心筋梗塞等)もありますので、お話をきいて鑑別していきます。その際下記の随伴症状がないかというのは大事なポイントです。
急に始まった頭痛はないか、腹痛の有無はないか、胸痛はないか、吐いた物に血は混ざっていないか、このような場合には早めにかかりつけ医や、もよりの病院を受診してください。吐き気には吐き気を感じる中枢を刺激して出る嘔吐と各臓器が刺激されて出る嘔吐があります。一般的に嘔吐をきたす疾患について下記に記します。*妊娠初期に70%の方にみられる悪阻(つわり)は入れていません。
■吐き気を感じる中枢を刺激する嘔吐
脳出血、クモ膜下出血、髄膜炎、薬物、アルコール、食中毒、精神的嘔吐
■各臓器が刺激されて出る嘔吐
メニエール病、中耳炎、乗り物酔い、胃・十二指腸潰瘍、胃がん、虫垂炎、等多くの消化器疾患狭心症、心筋梗塞、尿路結石、甲状腺機能亢進症、糖尿病、薬剤の副作用

胸やけ・げっぷがでる

胸やけとは食事や姿勢変化(横たわる、前かがみになるなど)で増強する胸の真ん中部分のやけるような感じです。胸やけを感じる場所が実際胸部であり、さらに『酸っぱい液が上がってくる』という症状がある場合は逆流性食道炎の可能性が高く、内視鏡検査が望まれます。一方みぞおちの『胃もたれ』等の胃部症状を『胸やけ』として訴えられる方も多いと言われています。胸やけを感じる場所がみぞおちの場合は胃や十二指腸の症状の可能性が高く、いわゆる消化不良という状態の可能性があります。消化不良症状がでる器質的疾患(その臓器に明らかな異常がある疾患)として 胃・十二指腸潰瘍、急性胃炎、胃がん、胆石症、慢性膵炎などがあります。これらの器質的疾患ではないことが確認されたら機能性(臓器には明らかな異常が見られない)胃腸症という診断になります。いずれにせよ、内視鏡検査及び内服加療が望まれますので、消化器内科への受診をお勧めします。
■消化器系
逆流性食道炎、食道裂孔ヘルニア、食道狭窄、食道痙攣、食道癌、急性・慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃癌
■消化管以外
胸膜炎、肺癌、虚血性心臓病

飲み込みにくい、喉がおかしい(嚥下困難)

のどに食べ物がくっついて飲み込めないような感覚です。飲み込むとすぐにのどに食べ物が引っ掛かる感じがある場合、飲み込んだ後に咳等も見られる場合は飲み込みに関与する神経・筋の異常の場合があります。
球麻痺、重症筋無力症、皮膚筋炎等
一方飲み込みには問題ないのですが、なにか喉にひっかかるという症状が続く患者さんは多くみられます。
咽喉頭感異常感、咽頭・喉頭炎、亜急性甲状腺炎、逆流性食道炎等
声がかすれる、声質が変わった(嗄声)も見られる場合は声帯ポリープや喉頭癌等の器質的異常の可能性があり耳鼻科受診が望まれます。また食道の疾患が原因であることも多く、進行性である場合は早期に消化器内科を受診してください。
食道裂孔ヘルニア、食道憩室、食道癌等

おなかがはる(腹満感)

『おなかが張る』といった場合、張る原因はどこにあるのかをまず考えます。原因としては、下記の4つの原因が考えられます。
■消化管とくに小腸~大腸に気体や液体がたまる状態
消化管は毎日7Lの消化液を分泌して吸収していますので、その機能が低下する場合には、容易に腸管内に液体がたまります。またごはんを食べる際に無意識に空気を嚥下する病態(呑気症)や食べたものを消化する際にはガスの発生がありますので、腸管の通過障害があれば液体はもちろん気体も腸管内に溜まることになります。
呑気症、便秘、脾弯曲症候群、過敏性腸症候群、腸閉塞、腸捻転、大腸癌等
■腹水貯留
低栄養、腹膜炎、心不全、肝硬変、悪性腫瘍等
■臓器の腫大
腫瘤、肝臓、脾臓、子宮の腫大、内臓器の悪性腫瘍等
■肥満

便秘

頻度は2~28%とされ、従来の定義は「排便が週3回未満」とされます。しかし便秘を「排便に力むこと」や「思うように排便できないこと」と考えられる方もおり、排便回数が少ないことが便秘と考えていたのは3割に過ぎなかったとの報告もあります。そこで患者さんの言われる『便秘』が具体的にどのようなものなのかをお聞きします。「排便に力むこと」(排便怒責)、「硬い便」、「排便しないけれども便意が続く」(便意切迫)、「排便頻度の少なさ」、「排便後の残便感」など最近発症した便秘で、腹痛、体重減少、血便、発熱、嘔気嘔吐等が見られる場合は下記疾患を念頭に問診を進めます。このような症状がある方は早めに消化器内科を受診されることをお勧めします。
大腸癌、腹膜炎、腸閉塞
排便回数が少ないいわゆる便秘の原因としては下記の分類が使われます
・器質的便秘:大腸の内腔狭窄や閉塞を原因とするもので早急に精査が必要です。
・機能的便秘:消化管の働きの低下による最も多く遭遇する便秘であり、原因不明の場合と、基礎疾患に続発するものに分けられます。
生活習慣(運動不足、水分摂取、食物繊維の不足)、お薬(慢性的な便秘薬の使用、鎮痛薬、鉄剤、制酸剤、抗コリン薬)、うつ病、過敏性腸症候群、骨盤底機能障害、甲状腺機能低下症、低カリウム血症、肛門・直腸病変、機械的閉塞等
近年は大腸癌が増えており、比較的急に便秘が出てきた方は是非当院へご相談ください。また慢性的に便秘がある方(慢性的に便秘薬使用されている方も含めて)、「排便時過度に力まないと排便できない」、「硬い便」、「排便しないけれども便意が続く」、「排便後も便が残っているような感じある」などの症状がある方もご相談ください。

下痢

急性下痢(2週間未満継続する下痢)と慢性下痢(4週以上継続する下痢)に分けられます。むろん慢性下痢は初期には急性下痢として現れますが、時間がたっても消失しないものになります。
急性下痢の多くは自然寛解します。迅速に精査を行う必要のあるものは、脱水を伴う場合、発熱、血便、腹痛、体重減少を伴うものです。とくにご高齢の方は容易に脱水をきたすことがありますので、注意が必要です。
ウイルス性胃腸炎、細菌性腸炎、食中毒、薬剤、過敏性腸症候群
慢性下痢には、腸管の機能異常によるもの、感染、薬剤、腫瘍によるもの等があります。
過敏性腸症候群、糖尿病、甲状腺機能亢進症、乳糖不耐症、薬剤、膵機能不全、胃切除後、小腸リンパ腫、大腸癌、虚血性腸炎、細菌性腸炎

血を吐く(吐血)

吐血とは血液を吐くことです。吐いた時に血液が混じることも含めます。肺や気管からの出血で、吐血とは区別しますが、区別がつきにくいこともあります。吐いたものが血液中心であれば食道、胃からの出血が最も考えられ、緊急に病院受診が必要です。少量の血液もしくは黒褐色の血液、の場合は胃・十二指腸潰瘍に加えて、急性胃粘膜病変、マロリーワイス症候群、逆流性食道炎などが考えられます。マロリーワイス症候群の場合は吐血前に嘔吐を繰り返していることが特徴でアルコールにより誘発されることが多い疾患です。吐いた血液が少量であれば、緊急性は低くなりますが、上部消化管内視鏡検査にて診断をいたしますので、消化器科への受診が望まれます。
胃潰瘍、肝硬変に伴う食道静脈瘤破裂、胃・十二指腸潰瘍に加えて、急性胃粘膜病変、マロリーワイス症候群、逆流性食道炎

便に血が(下血)

便に血液が混じることで、黒色~赤い便まであります。また鉄剤内服では便が黒くなることが多いので、内服薬の確認は必要です。
消化管(口から肛門までの管:口腔→食道→胃→十二指腸→小腸→結腸→直腸→肛門)の中で、出血する部位が十二指腸より口側は吐血、肛門側は下血として症状があらわれやすく、下血の中でも小腸や深部大腸(大腸の前半)では黒色便、直腸病変や痔疾患は黄色便とともに新鮮血がみられることが多いとされます。どちらにしても内視鏡検査が必要ですので、消化器科へ受診が望まれます。
胃・十二指腸潰瘍、小腸毛細血管拡張症、大腸憩室出血、虚血性腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、痔核、直腸潰瘍、大腸癌

体重減少

体重減少には実際ごはんは食べているのに、体重が減るのか、食べるごはんの量が減って体重が減るのかで考えられる疾患は異なります。ダイエットもそうですが、精神的に落ち込み、食欲がない方、食欲はあるのだが、口腔内の問題で食べるご飯の量が減り、体重が痩せる方もおられます。一方しっかり食べているのだが、体重がやせてきたという場合は消化器の腫瘍を含めたなんらかの異常が隠れている場合があります。
糖尿病、うつ病、摂食不良(歯の状態不良、入れ歯が合っていない、認知症、味覚障害等)、薬剤(抗認知症薬、強心剤、利尿剤、鎮痛剤等)、甲状腺機能亢進、悪性腫瘍(消化器が多い)、心不全、神経性食思不振、吸収不良、慢性感染症、副腎機能不全、肺気腫

一般内科

内科全般の診療を行っております。
また、他科の専門医による治療を受けたほうが良いと判断したときは、その専門科に紹介をさせて頂くなど、患者さまが安心して受診できる環境を整えております。検診で異常を指摘されたり、体の調子が悪く、何科を受診したら良いかわからない場合にも、お気軽にご相談ください。

発熱

急に出現した発熱の多くはウイルス性感染症(いわゆる風邪、上気道炎症候群)で、数日で軽快しますが、随伴症状によっては他の疾患の可能性があります。たとえば血痰、血尿、血便、頭痛、胸痛、腹痛、関節痛、排尿時痛、嘔気、嘔吐、呼吸がしにくい、下痢が続く、発疹、そのほか心配な症状がある場合は早めにご相談ください。
上気道炎、気管支炎、肺炎、熱中症、薬剤熱髄膜炎、腎盂腎炎、結核、蜂窩織炎、膠原病(関節リウマチ等)各臓器の癌

頭痛

頭痛は頻度が多く、その多くは命にかかわるものではありませんが、しかしくも膜下出血のように重篤な疾患がかくれていることがあります。とくに急に、今までに経験したことがないような頭痛や、だんだん痛みが強くなるような頭痛の場合は夜中でも緊急に受診する必要があります。以前から同様の頭痛がある方は片頭痛や緊張性頭痛のことが多く、治療により改善しますのでご相談ください。
片頭痛、緊張性頭痛、薬剤乱用性頭痛、高血圧緊急症、脳腫瘍、くも膜下出血、髄膜炎、三叉神経痛、大後頭神経痛、睡眠時無呼吸症候群

リンパ節が腫れている

多くの原因は感染や炎症に伴うものですが、抗生剤の投与が必要なものや、がんなどの重篤な疾患が隠れていることもあります。腫れが持続している場合にはご相談ください。
頭炎、ウイルス感染症、薬剤性、甲状腺機能亢進症、結核、各臓器の癌

のどが痛い

外来を受診される理由としては頻度の高い症状です。多くは命に係わるものではありませんが、ときに重篤な疾患の一つの症状として現れることがあります。とくに呼吸がしにくい、口を大きく開けられない、痛くて飲み込みが出来ない等がある場合は早めにご相談ください。また多くの感染性咽頭炎は2週間以内に症状が消退するのが通常ですので、2週間以上続く慢性の場合もご相談ください。
感染性咽頭炎(ウイルス性、細菌性)、扁桃炎、連鎖球菌性咽頭炎、急性喉頭蓋炎、伝染性単核球症、扁桃周囲膿瘍、亜急性甲状腺炎、逆流性食道炎、咽喉頭癌

高血圧

2010年国民健康・栄養調査によると,30歳以上の日本人男性の60%,女性の45%が高血圧(収縮期血
圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上,または降圧薬服用中)と判定されています。また心臓血管死(心筋梗塞等)、脳卒中でなくなる方の5~6割が高血圧によるものとの報告もあります。
多くの高血圧が原発性(動脈硬化等、年齢の増加とともにみられるもの)で、二次性(器質的な原因があるもの、ホルモン異常等)は頻度が少ないとされます。しかし急に血圧が高くなってきた場合には二次性高血圧が隠れていることがありますので、早めにご相談ください。
以前より、あるいは加齢とともに高血圧を指摘されるようになってきた方は、食事運動療法や降圧剤による血圧是正が必要です。目標としては自宅血圧135/85mmHg以下となっています。他の生活習慣病の合併がある方はとくに厳重なコントロールが望まれており、かかりつけ医をお持ちでない方は是非ご相談ください。

動悸がする

自分自身が感じる心拍の異常のことを指します。その半数近くは不整脈や弁膜症などの心臓由来のもので、心因性、薬剤、甲状腺疾患などが続きます。失神(意識を一時的に失う)、胸痛、息切れに伴う動悸の場合は早めの受診(循環器内科)が望まれます。
感染性咽頭炎(ウイルス性、細菌性)、扁桃炎、連鎖球菌性咽頭炎、急性喉頭蓋炎、伝染性単核球症、扁桃周囲膿瘍、亜急性甲状腺炎、逆流性食道炎、咽喉頭癌

手足が腫れる(浮腫)

血管から水分が漏れて間質に溜まることによります。原因としては心機能低下、血管の透過性亢進、水分を把持する蛋白の低下、リンパの流れが滞ること、薬剤、アレルギー等が考えられます。
心臓弁膜症、心不全、肝硬変、ネフローゼ症候群、蛋白喪失性胃腸症、低栄養、深部静脈血栓症、リンパ管閉塞

めまい

めまいの内容としては天井が回転する、意識を失いそうになる(あるいは実際意識を失う)、平衡感覚の異常、頭部がふらつくなどが挙げられます。とくにいままで経験のしたことのないめまい症状が急に出現した場合は脳梗塞の初期の可能性があり、意識を失いそうになる(あるいは実際意識を失う)場合には貧血、心臓疾患、低血糖発作などの可能性がありますので早めの受診が望まれます。
末梢性前庭障害、良性発作性頭位めまい症、メニエール病、不整脈、貧血、薬剤性、心因性、脳卒中

咳が止まらない

咳には粘液、分泌物、異物を気道から除去する役割があり、身体にとっては大事な反応ですが、急性の咳は通常は自然治癒し、長くても3週間以内です。原因としては多くは風邪と言われるウイルス性上気道炎によるものです。ウイルス性上気道炎、副鼻腔炎、急性ウイルス性、細菌性気管支炎、感染性肺炎慢性閉塞性肺疾患の急性増悪、アレルギー性鼻炎、環境因子による気管支刺激、高齢者の慢性誤嚥慢性の咳は3週間以上続く咳で、ときに命に係わる疾患が隠れていることがあります。御心配な場合はご相談ください。
喘息、慢性アレルギー性鼻炎、後鼻漏症候群、逆流性食道炎、慢性閉塞性肺疾患、気管支拡張症、肺癌、薬剤性、心因性

乳房にしこりがある

乳房に関する患者さんの訴えで多いのは、乳房のしこり、乳房痛、乳頭分泌物とされます。これらの訴えの多くは良性の原因ですが、悪性のものもありますので注意が必要です。とくにしこりが動かない時、しこりがいくつもある時、片側の乳房にだけ見られる場合、月経周期と関連しない場合、乳頭より血性分泌物が見られた場合は早めに乳腺専門医の受診をお勧めします。またしこりを感じる方は上記の症状がなくとも一度は乳腺外科の先生の受診をお勧めします。乳がんは食事の欧米化とともに日本でも頻度が増えています。とくに若い女性でもしばしばみられるがんの一つでもあります。症状がなにもなくても乳がん検診は是非定期的に受けていただくことをお勧めします。
線維嚢胞症、繊維腺腫、乳腺炎(授乳期)、乳がん

トイレが近い、排尿時に痛みがある、尿の出が悪い

腎臓で尿を作り→尿管→膀胱→尿道を通って排尿します。この一連の通り道を尿路と言います。膀胱及び尿道近傍には男性であれば前立腺、女性では外尿道口(尿がでる部分)と膣口が前後に並んでいること、尿道が男性に比べて女性が短いことが解剖学的な特徴になります。そして泌尿生殖器とひとまとめにされるほど、排尿に関与する器官と生殖器官は密接な関係があります。排尿に関する症状の原因疾患として最も多いのは尿路感染症で、成人女性のほぼ25%が急性の排尿困難症状を経験しているという報告もあります。
膀胱炎、尿道炎、前立腺炎、子宮頸管炎、外陰部膣炎、腎盂腎炎膀胱癌、前立腺癌
一方慢性的にトイレが近いという場合は感染症より、膀胱~尿道になんらかの器質的な異常があることが考えられます。
男性:前立腺肥大、前立腺癌
女性:過活動膀胱

もの忘れが増えた

人はだれでも年齢とともに身体は老化して、若いころのように動けなくなってきます。それは脳にとっても同様で、思い出すのに時間がかかり、きっかけが必要になったりします。このような加齢に伴う物忘れは、だれにでも起こります。しかし認知症の初期症状として物忘れがありますので、注意が必要です。認知症は2025年には700万人を越えると予測されています。これは65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症に罹患する計算になります。物忘れが最近目立つと思われる方のご家族の方は早めに専門の医療機関へ受診されることをお勧めします。

手先が震える

医学用語では振戦というものです。じっとしているときに出るもの(安静時振戦)、何らかの動作を行うとするときにでるもの(動作時振戦)があります。安静時振戦はパーキンソン病でしばしば見られ、動作時振戦は本態性振戦という震えのみが症状の良性疾患で見られます。ふるえを訴えられる患者さんで最も多いのは本態性振戦で、日常生活に支障がなければ加療の対象にはなりません。御心配な方は一度神経内科専門医の受診をお勧めします。
本態性振戦、パーキンソン病、脳血管疾患、多発性硬化症、薬剤性、甲状腺機能亢進症