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丁寧に考える新型コロナ(岩田健太郎先生著)を読んで

新刊の岩田健太郎先生の『丁寧に考える新型コロナ』を読みました。

その道のプロのお話は得るものも多くためになりました。以下私なりの要旨を記します。ご興味のある方は是非本書のご一読をお勧めします。

・『なぜ日本では(第一波の)感染者数も死亡者数も少なかったのか』に関して

日本人の衛生意識の高さ、マスク着用率の高さ、協調性を重んじる国民性など自画自賛の情報がネットではあふれていますが、その前に日本だけ少なかったわけでもないことを明示されました。

国別の単なる感染者数の比較、人口100万人あたりの感染者数の比較、一方人口当たりの感染者数が少ない国の比較から決して日本だけが感染者数が少ないわけではないこと。

感染者数の比較に関してはそれぞれの国の検査体制の差もありますので、人口当たりの死者数での比較が重要とされました。その上で欧州・南北アメリカ大陸で死亡リスクが高くアジアの多くの国で低いことが示されています(世界で最初に感染拡大をした中国でさえ、その死亡率は低いことに驚きです)。その上で『日本だけが特化して新型コロナウイルス対策でうまくいった』と断言するデータはどこにもない。またアジア諸国、オセアニアの国(オーストラリア、ニュージーランド)が欧米諸国よりも感染対策が上手くいったのは事実である。しかし何故かという疑問に対しての著者の考えは『単純にスタート地点が違っていたから』というものです。患者が少なかった。これが日本の対策が上手くいった最大の理由とされています。確かに各地で散発的なクラスターが発生しましたが、それを追跡、捕捉することに成功し続け、プリンセス号は単に船内に隔離していたから船外に感染が拡大しなかっただけである。一方ヨーロッパ、アメリカでは初動が遅れ、スタート時点で大量の感染者が発生していたということがあげられています。

つまりアジアの文化、風土、歴史は関係なく、最大の要因は『運がよかった』ということと述べられています。

・PCR検査について

 PCR検査のキャパシティとPCR検査の実施は別問題であること

PCR検査を火災報知器を例えとして、火災報知器はどこでも必要なのだが(キャパシティ)、それをどこでも鳴らすのはナンセンス(実施は感染者が多ければ沢山する必要はあるが、感染者が少なければ検査そのものが不要)ということは理解できました。

一般にPCR検査の感度は70%と言われます。つまり10人の感染者のうち7人しかPCRでひっかかりません。3人は感染しているのにPCRではひっかかりません。これが偽陰性です。つまりウイルス量が少ない場合は増幅しても一定数にならず陽性とならないことは理解できるかと思います。一方疑陽性とは感染がないのに陽性になってしまうというものです。ウイルスがいないのに陽性になることはあるのでしょうか?これは検体混入や過去の感染ですでに死んでいるウイルスを拾ったりなどの可能性があるようです。最近では体操の内村航平さんが疑陽性だったことが思い出されます。このように万能でないPCR検査をやるべきとか絞ってやるという議論はまずその前提条件を考えずに議論をすることはナンセンスということです。

・日本はどうしたら第2波(現在は第3波)に対応できるのか?という提言

『水』がコップ1杯のときはなんでもなく、バケツ1杯でもどうということはないが大雨、洪水、台風や津波になると甚大な被害をもたらす『水』同様、コロナの問題はその『量』に大いに依存する。よって大事なのは量を増やさないこと。つまり流行早期を見逃さずに察知する。察知して、検査して、診断し、濃厚接触者を探してモニターする。数が増える前に抑え込む。

PCR検査をするかしないかは状況が決める。必要があれば大量の検査を、流行が起きていなければ検査は必要なしとの著者の意見は納得です。そこで強調されていたのは事前確率の見極めです。そのために大事なのは患者さんを理解する能力、病歴聴取との意見は大いに納得です。

つまり状況判断=適切な事前確率の設定があってこそのPCRの検査の価値やマスクの必要性も意味も設定できるということです。この状況判断が今の医療機関に求められることと思います。そしてそのためには医療者は丁寧な病歴の聴取が感染症診療の基本と述べられていました。病歴(患者さんから教えていただく情報)が医療の基本ということは全くその通りだと大いに納得しました。

また感染者の発生を抑える方法は『感染経路の遮断』が一番大切で、その方法としてはマスク、3蜜回避を始めとするソーシャルディスタンス、ドアノブの消毒等繰り返しTVなどで言われていることと変わりません。私達にできることはまずは状況判断、佐賀市では現在コロナ感染の報告はわずかです。この状況で過大に恐れる必要はありません。『寒気がするから、微熱があるからコロナではないか?』と過大に心配してPCRをする必要はないのです。むろん『佐賀市はコロナ感染は少ないから大丈夫』と油断するのは厳禁です。佐賀から福岡に通っている方々も沢山いますから、福岡での感染拡大が拡がれば佐賀でも感染が拡がることは考えられます。しかし今はソーシャルディスタンスを常に意識した生活を送っている限りは現在の佐賀市でコロナ感染リスクは極めて低いという事実をしっかりと理解しておけばよいと思います。その中で微熱、咳などの症状がでればまずはかかりつけ医へ電話でご相談ください。

野村克也さんは幾多の名言を残されましたが、『勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし』という名言があります。日本を含めアジア諸国は運もあり、前半は不思議の勝ちをしたのかも知れませんが、現在のコロナ感染の急速な増加は、ある意味では負けているのかもしれません。それには理由があるはずです。基本に立ち返って無意味に恐れるのはなく正しく恐れる必要があります。いつも書いていることですが、不幸にも感染してしまった方々へのバッシングは厳につつしみましょう。明日は我が身です。

2020年11月23日
今年も菊を頂きました。

開業して4年が過ぎ、定期的に来ていただく患者さんも少しずつ増えてきました。そんな患者さんたちにときどき頂き物をします。ピーマン、ラッキョウ、玉ねぎ、お米など、これがまたおいしいのです。職員みんなとありがたくいただいています。最近は趣味で育成されている菊を頂きました。昨年もいただきましたが、入り口に置いていますので、ぜひ受診の際に見て頂ければと思います。こんなときに開業して地域のかかりつけ医という仕事を始めてよかったなぁと思います。頂き物をしたからではなく、このクリニックが地域の皆さんに少しずつ受け入れていただいていると実感するからと思います。

話は変わりますが、先日のためしてガッテンでリモート会議が盛り上がらないという話題がでていました。その際重要なのは、画面と目線が違うということと、話を聞く方のうなずきが足らないというこがあげられていました。無意識のうちにする手の動きもコミュニケーションには大事というお話もありました。『相手の目を見て話しなさい』とは子供のころから言われていたことですが、うなずきなどのリアクションがいかにコミュニケーションに大事なことかということを教えていただいたように思います。医師会が現在の医療は対面が基本で、オンライン診療は例外的なものと位置ずけているのは、対面でえられるものが多く、またそれが患者さんの満足度にもつながるという考えもあるものと思われます。しかしWith コロナの今は、今後の診療スタイルも変わらざるを得ない部分もあると思います。

地域の皆様に少しずつ受け入れていただいていることに安住せず、今後も地域のニーズに可能な限り答えていけるように努力したいと思います。

2020年11月14日
肺炎球菌ワクチンに2種類あるのをご存知ですか

肺炎球菌は小さな子供や高齢者には重症肺炎を起こすリスクが高いとされています。また慢性的な肺疾患、糖尿病、そのほか心臓、腎臓、肝臓の疾患を持っている方や抵抗力の弱い方は重症化しやすいと言われています。ご存知の方も多いと思いますが、肺炎の原因の3割程度を占めるこの肺炎球菌に対する肺炎球菌ワクチンの定期接種が平成26年より開始され、65歳から5歳刻みの方々に公費より助成がでています。この肺炎球菌ワクチン(ニューモバックスNP)は23種類の肺炎球菌に有効なワクチンですが、その予防効果は5年で接種から5年たちますと再接種が勧められています。じつは肺炎球菌ワクチンにはもう1種類あるのをご存知でしょうか?プレベナー13といいます。こちらは乳幼児にも使えるように開発されたワクチンで、13種類の肺炎球菌に有効でうち12種類はニューモバックスNPと共通です。ニューモバックスNPはリンパ球のB細胞を刺激して23種類の肺炎球菌の型の抗体を作るワクチンです。残念ながら5年程度でこの抗体を作る力が減弱します。一方プレベナー13はリンパ球のT細胞を刺激してB細胞に必要な抗体を作らせます。これを免疫応答といいます。いわゆる戦い方を獲得するので、その効果は一生持続するといわれます。

公費助成による定期接種となっているニューモバックスNP、自費接種となっているプレベナー13どちらが優れているという訳ではなく、それぞれの長所短所がありますが、両ワクチンの接種が肺炎球菌予防には効果的とされています。ではとのような投与スケジュールがよいのでしょうか?

  • ・どちらも接種したことがない高齢者の方はまずはプレベナー13を接種しその6カ月以上後にニューモバックスを接種する
  • ・定期接種の対象年齢であればまずニューモバックスNPを接種しその1年以上の間隔を空けてプレベナー13を接種する

新型コロナ感染が世界中で猛威をふるっています。比較的患者数の少ない佐賀県でもまた第2波、第3波がくると思われます。新型コロナ感染でもっとも注意すべきは肺炎です。このため、現在皆さんが励行されている、手洗い、うがい、3密回避とともに、重症化の予防効果のあるインフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチン(2種)の接種は是非しておくべきと思われます。不明な点はご相談ください。

2020年10月25日
こんな夜に野茂英雄が読みたい

8月のNumberは野茂英雄さんの特集でした。1995年に矢をもておわれるように批判されながら渡米しドジャーズとマイナー契約(年棒1億4000万から980万へ)、トルネード投法で活躍し、新人王を獲得しました。いまではイチロー、ダルビッシュ、前田、大谷選手などの日本の超一流選手でMLBでも活躍するのは、日々のニュースで普通に見ることがあります。しかし今から25年前、日本人はMLBでは通用しないといわれていました。そんな中での大活躍に胸を熱くしたことを覚えています。パイオニアとしても苦労もあったと思いますが、記事を読みますと、いろんな人たちの支えがあったことがわかります。一方マスコミを中心とする彼への扱いは日本を出る際はとても批判的であったのが、彼が成功すると、とたんに手のひらを返すように変わったこともよく覚えています。寡黙な野茂さんの性格にもその一因はあるのかもしれませんが…。エスニックジョークという国民性を揶揄するブラックジョークに、日本人には『他の人はみんなやっていますよ』というと行動するというものがあります。確かに回りを見回す国民性はあります。だからこそ、その枠にはまらず孤高をつらぬいて自分の道をゆく人たちに憧れや尊敬をおぼえるのかも知れません。ただ現在の野茂さんは肥満がめだつようですので、健康管理には気を付けていただきたいものですが…。Numberは待合にありますので、ご興味のあるかたは待ち時間に手にとってみてください。

2020年09月21日
安倍晋三総理大臣辞意表明

昨日は驚きのニュースが入っていきました。安倍晋三という政治家は、53歳という若さで総理大臣に昇りつめ、持病でわずか1年で突然の辞職で地獄を見た後、不死鳥のように自民党総裁に再選し、選挙で大勝した後総理大臣に返り咲きました。その後7年をこす最長政権を維持しました。国民には急な辞任表明に見えますが、ご本人は、体調不良の中、すこしでも良いタイミングでの表明だったのだと思います。2/3を超える選挙の大勝にも関わらず、憲法改正を急がず、国民に嫌われる消費税の増税を2回もやりとげるなど、民主主義を尊重し、自分の信念に対して強い意思を持った稀有の政治家だと思います。若い頃から潰瘍性大腸炎という難病と闘いながら政治家人生を送られてきました。憲法改正、拉致問題の解決など、道半ばでの辞任に忸怩たる思いがあると思いますが、今はただ、早く後継に責任を渡して一刻も早く十分な療養をしていただきたいものです。

2020年08月29日
暑さ指数

暑さ指数をご存知ですか?暑さ指数(WBGT(湿球黒球温度):Wet Bulb Globe Temperature)は、熱中症を予防することを目的として1954年にアメリカで提案された指標です。 単位は気温と同じ摂氏度(℃)で示されますが、その値は気温とは異なります。暑さ指数(WBGT)は人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目した指標で、人体の熱収支に与える影響の大きい ①湿度、 ②日射・輻射(ふくしゃ)など周辺の熱環境、 ③気温の3つを取り入れた指標です(環境省の熱中症予防情報サイトhttps://www.wbgt.env.go.jp/wbgt.phpより)。暑さ指数(WBGT)が28℃(厳重警戒)を超えると熱中症患者が著しく増加するデータがあります。コロナで例年とは様変わりしたお盆になるかと思いますが、温暖化によると思われる8月の暑さは変わりません。8/13には暑さ指数が31℃をこえるようです。ご高齢の方々は住居内にいても熱中症が起こります。冷房の活用、定期的な飲水を心がけてください。

2020年08月12日
半沢直樹いいですね

新シリーズの半沢直樹の第4話を見ました。日本人は昔から勧善懲悪が大好きです。古くは水戸黄門シリーズ。『人生楽ありゃ苦もあるさ~』あのテーマ曲は子供のころよく歌いましたが、いまだに懐かしく思います。現代版の勧善懲悪とでもいいますか、半沢直樹の新シリーズとても楽しみにしていました。池井戸さんの本はおおむね読んだように思います。共通するのはモノづくり日本の現場でまじめに一生懸命働く人たちへの応援歌のようにも思います。ルーズベルトゲーム、下町ロケットなど個人的にはTV番組の方がより引き付けられます。これは脚本家や一流俳優の方々の力だと思います。今回の第4話もとても引き付けられました。やられたらやり返すという激しいところが、普通の私達にはなかなかできないことなので、そのことに対する憧れもあるのかもしれません。第4話の最後に半沢直樹が職場の若い仲間に贈る言葉はとても身に沁みました。みんながそれぞれの立場で頑張ることを教えてくれたようにも思い、明日からの勇気をもらいました。TV番組で勇気をもらうのは軽すぎるといわれるかも知れませんが、根が単純だからそれでいいと思っています。

コロナの感染はとどまるところを知りません。Go toキャンペーンが今後どういう評価になるかわかりませんが、確かに仕事が激減して困っている人々も沢山おられるので、政府も苦渋の決断をされたのだと思います。総理は孤独に耐え、過大なストレスの中で執務をされていることでしょう。お身体には気をつけていただきたいものです。Withコロナの時代です。どうぞ皆さま携帯には接触確認アプリを入れて、日常ではソーシャルディスタンスをとり、こまめな手洗い、うがい(イソジンでなくて十分です)をしましょう。不幸にも感染した方々への批判は厳につつしみましょう。明日は我が身です。

2020年08月10日
大雨

緊急事態宣言解除を受け、日常がようやく帰ってきつつあるようです。しかし東京のCOVID19感染者の増加は極めて心配です。さて先週の大雨は佐賀には大きな被害をもたらしませんでしたが、熊本の球磨川氾濫により町が冠水している映像はショッキングなものでした(写真参照)。被災地の復興、この自然災害でお亡くなりなった方々のご冥福をお祈りいたします。とくに特別養護老人ホームで多数の方々がお亡くなりになったことは驚きでした。以前御高齢の方々が入所している老人保健施設で定期的に回診していたことがあります。医師の仕事は熱発者の診察や、嚥下状態の確認等、健康管理が主体でした。日々の生活はいわゆる介護福祉士やヘルパー等の資格をもつ方々の毎日の気配り、目配りなどの献身的な介護によってかろうじて維持されている状態でした。一般に特別養護老人ホームには要介護3~5の方々を中心に入所されています。いわゆるほぼ寝たきりの方々が多数おられる場所ですので、介護スタッフはどこでもギリギリの状態で現状を維持している状態です。そんな中今度の大雨による被災で多数の犠牲者をだした特養のスタッフの方々の気持ちはどうでしょう?スタッフの方々も被災されていることと思います。どうぞご自身を責めることなく、まずはご自身、ご家族の安全そして、みなさんを待っている方々のケアに専念していただければと思います。TVの報道番組で、自然災害の専門家の方が、このような自然災害に対する備えの考えを、素人の医療や福祉で働いている人たちに持ってもらうのは困難であり、自分たちがそのような場面を想定して前もっての備えを説いて回るべきだったと反省の弁を言われていたのはすごく共感しました。私達の小さなクリニックでも、実際の自然災害にどう対処するのかのマニュアルはまったくできていませんので準備しなければと思います。まだまだ雨は続くようです。どうぞ皆さま佐賀は安全と過信せずご注意ください。

2020年07月13日
乳癌サブタイプと乳腺病理

昨年病理で一緒に仕事をした山口倫先生(久留米医大学医療センター病理准教授)から本を頂きました。昨年秋に出版された本です。20年前、私のいた久留米大学第一病理学教室は教室全体で肝がんの研究を主として行っていました。彼は肝がんで学位論文やそのほか幾つかの論文をHepatology という肝臓では国際的に評価の高いjournalなどに書いたあと、自分のライフワークとして乳癌の病理をコツコツと勉強していました。教室には彼に乳癌の研究を指導できる先輩はおらず、文字通り一人でコツコツと研究を続けていました。頑張っている人には手助けをしてくれる人がでてきますが、他大学の乳癌病理の高名な先生たちにも可愛がられ、なにより教室からは乳癌の切除症例の多い久留米総合病院(旧久留米第一病院)の症例を多数診断する場を与えられ、めきめきと実力をつけていきました。その彼がこの度、『乳癌サブタイプと乳腺病理』という本を書きました。乳癌は、悪性度の判断がなかなか難しいことが多い癌です。一般には癌の診断には細胞異型、構造異型という2つの尺度で判断します。1つ1つの細胞の顔つきを見るのが、細胞異型。癌も正常組織に類似した構造がみられますが、その構造が破壊されているかどうかを見るのが構造異型です。ここに免疫染色という癌が発現する蛋白を染めた標本の評価を加えてその癌の特徴を示した本です。乳癌は構造異型が比較的軽度なものが多く、癌の診断に難渋することもよくあります。病理という仕事は癌の最終判断をする仕事です。病理を知らない臨床医は病理のいうことを盲目的に信じてしまいますし、臨床を知らない病理医は標本だけ見て臨床では考えられない診断をつけたりすることがあります。人は必ず間違いをおかしますから、反省会をします。切除した症例の組織と、切除する前の画像を対比したりするのが、いわゆる術後カンファランスという反省会です。多くの大学病院や、大学病院ではなくても病理医がいる病院ではそのようなカンファランスを通常業務の終わった後に外科、内科、放射線科、病理医が集まって、その症例の検討を行い、反省すべき点は反省し、各々のスキルアップにつとめます。それが次の患者さんの役に立つと信じて。その際の病理医は最終診断者ですから裁判でいえば裁判官の役割でしょうか?しかしそのような反省会で病理医は一人しかおらず、内心は不安におののきながら反省会に参加します。そんな病理医にとって、乳癌症例では、彼の本は非常に手助けになることでしょう。また術前診断をする臨床医にとっても大きな手助けになる本だと思います。昔の格言に内科医は何でも知っているが何もしない、外科医は何も知らないが何でもする、精神科医は何も知らないし何もしない、病理医は何でも知っており何でもするが遅すぎる。今の時代にはこの格言は当てはまらないと思いますが、彼のこの本が、遅すぎるという病理医とは真逆の立場になるのではないかと思います。山口倫先生のますますのご活躍を祈念します。

2020年06月01日
COVID19 緊急事態制限解除にあたって

政府は24日、東京、神奈川、千葉、埼玉、北海道の5都道県で続いている新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言について、25日に解除する方針を固めた。感染状況が改善傾向にあるためで、専門家で構成される諮問委員会を開き、政府対策本部で決定する。これにより、4月7日に発令された緊急事態宣言は全面的に解除となる。との報道がでています。佐賀でも新たな感染はでておらず(福岡では5/23に4人でているのが気になりますが)、新型コロナウイルス(COVID19)の脅威もようやく一段落ついたように思います。むろんこれから来るべき第2波、第3波には十分な警戒が必要です。定期でおいでになる患者さんたちも3月~5月にかけて長期処方もしていることもあり受診控えをされていました。久しぶりにおいでいただく患者さんたちは一応にCOVID19に関する不安を口にされます。TVでの報道で、高齢者でとくに基礎疾患を持っている方々がCOVID19感染で重症化するとの繰り返しの報道もその一因と思います。一般に内科クリニックに定期でおいでになる患者さんの多くは高齢者で基礎疾患を持っているからです。一方Stay homeの行き過ぎによるものか、身体を動かさず家でゴロゴロして食べてばっかりで太ったという話は笑い話としても、ご高齢の方で散歩などの自粛に伴いフレイルという筋力低下による虚弱という状態に陥ることが危惧されています。

 

世界的に驚異的と思われる日本のCOVID19による死亡数の少なさ(残念ながらお亡くなりになられた方々には哀悼を捧げます)の原因として日本人の清潔観念の高さが指摘されています。COVID19以前と比較してさらに手洗い、うがいの励行頻度は格段に上がっています。この意識変化は今後も続けなければいけません。

 

1年前の今頃、このようなことが起こると誰が予想していたのでしょうか?オリンピックが延期になるということを予想した人は皆無だったでしょう。ときには家族で外食やショッピングに行き、野球やサッカー観戦に一喜一憂する、あるいは生活の糧となる仕事があるという普通の生活がいかに幸せなことか思い知らされたこの数カ月だったように思います。

 

病気はCOVID19だけではありません。どうぞ皆さま今後もご自愛ください。

 

 

 

 

2020年05月24日
COVID19 (内科学会緊急シンポジウム)

内科学会緊急シンポジウムを視聴しました。日本のCOVID19(新型コロナウイルス)に関しての知見が提示され非常に勉強になりましたので、私なりにまとめて記します。
日本でのCOVID19陽性者はすでに10000人を越えていますが、現時点での解析で以下のようなことが分かっています。
・性年齢分布では20代~50歳代が7割、60歳以上が3割弱、19歳以下は3.5%で男性が6割を占める。
入院経過を追えている516例の解析では有症状は436例(8割)で診断時の症状としては熱、咳(8割)、全身倦怠感(5割)、咽頭痛(3割)、下痢(2割)
重症化率(肺炎、呼吸器装着、死亡)は60歳以上と以下で大きく異なる。
リスクは60歳以上、男性、高血圧、糖尿病,脂質異常症、癌、心血管疾患の併存

COVID19と診断されたときに症状があった方々の臨床経過をみますと
潜伏期5日、発症して6日で診断され、平均16.6日で退院されています。一方COVID19陽性確認時に無症状であった方80例のうち半数は3.5日で発症し、5例は人工呼吸器管理となっています。
診断したあとのfollow upが必要でその2週間の間に急激な変化をきたすことがあることが重要。しかし8割は軽症のまま治ってる病気でもあります。

クラスター
SARSとCOVID19を比較するとCOVID19は無症候性が多い、
SARSは肺でしか増殖しなく、ほとんど重症化する。しかし肺で増えたウイルスが外に出るようなエアゾールプロシージャ―でなければ感染しない。そのためほとんどの感染が医療機関であり、また感染経路を追うことができ、封じ込めができた。
一方COVID19は重症化と感染には相関関係はなく、上気道に感染源はみられるし軽症が多い。このためSARSに比べて裾野が広い。
COVID19感染
クルーズ船、チャーター便帰国者は流行に一切つながっていない。
どのような条件下(例外的に多くの人に感染させる場)でどのような人(例外的に多くの人に感染させる人)が感染させているかを知ることが必要
3密(密閉、密集、密接)+換気量が増大する運動(ジム、卓球)、大声を出す、歌う、
1対複数の密接した接触(夜の接客を伴う飲食店:孤発例の多くはこれ)
クラスタを起こす人の多くは咳、くしゃみがなく、通常の飛沫感染ではない。
普通熱があって咳する人はジムにはいかない

どのような人がクラスタを形成?
上気道のウイルス排出量は重症例ではなく年齢に依存で高齢者で多い。
重症度とは相関しないが、むしろ症状の軽い人の方が活動的でクラスタを形成しやすい
実際にクラスタ形成の多くは咽頭痛・微熱などの軽微の症状がほとんど。短距離のエアゾルが関与していることが考えられる。
通常の風邪のコロナウイルスは10月~7月にみられる。COVID19も同様の可能性あるが…。

今医療者は2つの敵と戦っている。
1つは目に見えない新型コロナウイルス
2つ目は見えない敵が人の心(社会)につくる疑心暗鬼でそれがスタッフ、病院、COVID19感染者への言われのない誹謗・中傷

繰り返し言われていたことは。クルーズ船の受けいれした病院では二次感染は起こっていないということです。
医療者は無用に恐れるのではなくCOVID19に対する正しい理解、一般市民の方々も正確な情報を持ち、8割の接触機会を減らすこと、パニックにならず最前線でCOVID19と戦っている医療機関やCOVID19感染者への配慮が望まれます。
最後に風邪様症状がある方(とくに感染流行地域との関わりがある方)は、まずは自宅待機してください。そして4日間以上の発熱、強い全身倦怠感、呼吸苦、咳が続く場合はまずは保健所内の相談センターへ連絡して指示を仰いでください。

 

2020年04月19日
在宅当番医

今日は在宅当番医でした。新型コロナウイルス(COVID-19)の感染者が増加し4/7には安倍総理大臣より7都道府県に非常事態宣言がだされて初めての日曜日の在宅ということで緊張した1日でした。風邪様症状の方々が大半でしたが、ほとんどの方が前もって電話を頂きましたので、感染リスクに応じた対応ができました。ありがとうございました。

現在国内感染者数は7000人を越え死者は150人との報道がありました。一方米国では感染者数は50万人をこえ、死者も18860人に達し、イタリアを抜いて世界最多となり、4/10には1日で2000人の死者がでています。世界中が新型コロナウイルスの脅威に脅かされています。人との接触を8割減らすことで、1カ月で収束に向かうが、7割だと2か月かかるとの報道もありました。先の見えない中で、ウイルスという目に見えない敵に底知れない不安を感じる日々をお送りのことと思います。今は第二次世界大戦以来の世界規模の戦いとも位置ずけられています。感染者のプライバシーを詮索したり、バッシングするのではなく、私たちにできることは手洗い、うがいの励行、こまめに換気をすること、人とお話をする場合はマスクの着用、可能な限り人との接触をさけて1カ月を待つしかありません。

2020年04月12日
鶴田修教授ご講演

大変お世話になった久留米大学の鶴田修教授のご講演がありましたので拝聴してきました。鶴田先生は3月に久留米大学を退官されます。3月末の退官記念式典にはもちろん参加予定ですが、昨今のコロナ関連でさまざまな集会が中止になっておりますので、記念式典がどうなるかわかりません。そこで鶴田先生の講演を聞くために今回の医師会主催の講演会に参加して来ました。この会も中止になるかと思いましたが、講演会の後の懇親会は中止で、講演のみあるとの由。仕事を早々に切り上げて鳥栖の講演会場まで雨の中を向かいました。私が2内科から1病理に出向し研究をしていたころ、鶴田先生は当時大腸で高名だった光島 徹先生のおられた亀田総合病院へ国内留学された後、久留米大学2内科へもどられていました。同時に2病理にも席をおいて、精力的に大腸がんの研究をされていました。おおむね25年以上前の話になります。そのころは消化器内科である2内科でも大腸内視鏡検査を上手にできる先生は少なく、患者さんと直接関わる臨床医の顔と、切除標本を顕微鏡で観察する病理医の2つの顔をもち、とてもあこがれたことを思い出します。私は大学での初期研修が終わり、外の病院で臨床医として働いていたときに、なかなか大腸内視鏡検査ができず、患者さんに痛い思いをさせてばかりいたのでよけい、大腸検査が上手な鶴田先生にあこがれました。講演は早期大腸がんの診断という、鶴田先生が長年取り組まれていたことについてのご講演でした。内視鏡検査機器のお話からはじまり、最近のAI診断まで多岐にわたるお話でした。Aiに関しては大腸内視鏡検査についてはそうそうに保険診療にはいってくるということ、現時点での大腸内視鏡検査でのAiはポリープを見つけると、『95%の確率で腺腫』というように、非腫瘍、腺腫、癌の鑑別が%表示できるようになっているが、今後深達度まで判断できるものができてきているとの由でした。すごいことだと思います。しかしこの基礎となるデータは鶴田先生達をはじめとする、たくさんの内視鏡医達が長年かけて蓄積したものです。Aiの話がでますといつも思いますが、Aiをどのように活用するか、そしてAiに取って代わられない自分にしかできない何かを持つ必要性を感じます。

 

2020年02月29日
内視鏡学会セミナー

1/26にアクロス福岡で開催された内視鏡学会主催のセミナーに参加してきました。昨年も参加しましたが、とても勉強になったので、今年も参加してきました。朝9:0016:00までみっちりと詰まったレクチャーを受けてきました。食道、胃、小腸、大腸、肝胆膵それぞれの分野で現在売り出し中といいますか、油の乗り切った先生達のレクチャ―でした。とくに勉強になったのは咽頭がん、食道癌の内視鏡診断についてです。咽頭がんというと耳鼻科領域のがんになります。しかし咽頭癌の発見契機(T1.T2症例)は耳鼻科内視鏡と消化器内視鏡では16% 84%であり、耳鼻科より消化器科による内視鏡によるものが断然多いことに驚きました。早期の咽頭がんは内視鏡医が一生懸命みつけないといけないということを力説されていました。次ぎに咽頭がん、食道癌はとくにハイリスクの方々を注意して観察ることがポイントです。ハイリスクは当然のように飲酒です。内視鏡治療ができる食道癌は通常観察ではみつけることは困難。発赤、浅い陥凹、微細な顆粒状変化がみられ、そこにNBIという画像強調画像を利用して内視鏡検査を行うことで検出率があがります。上部消化器内視鏡(胃カメラ)を患者さんに挿入する際に、患者さんが最も苦痛を感じるのは舌の奥の咽頭、喉頭、食道入口部です。ですから内視鏡医としてはここをいかに患者さんに苦しくないように通りすぎて食道に入れるかということに気持ちが集中します。しかし現在はそれに加えてその場所に早期の咽頭がんがないかどうかにも気を使わねばなりません。気がひきしまるレクチャーでした。明日からの診療に役立てるようにしなければと思いました。

2020年01月26日
新年のご挨拶

新年あけましておめでとうございます。

昨年は令和元年で10月には開業して4年目を迎えました。すこしずつクリニックの特徴を出すことができた1年だったように思います。9月にはラグビーワールドカップで沢山の感動をもらいました。ワンチームという素晴らしい流行語もありました。

今年もへんに背伸びすることなく、自分に出来ることを確実にやっていきたいと思っています。本年は1月4日(土曜日)が仕事始めとなります。小さいクリニックですので、至らないところも多々あるかと思いますが、職員一同努力してまいりますので、どうぞ今年もよろしくお願いいたします。

 

家族で大宰府天満宮に初もうでに行く際にと撮った初日の出

2020年01月01日
年末のご挨拶

2019年も残すことわずかになりました。本日が当院の2019年の仕事納めでした。今年はインフルエンザの流行は早い時期に少しありましたが、最近はポツポツとおられる程度で当院の地域ではまだ流行しているという程ではないような印象です。しかし常に流行時期がありますので、年末年始は開いていない医療機関が多いので、どうぞ皆さま手洗い、うがいを励行し、飲みすぎなどにご注意ください。新年は1月4日土曜日より開院いたします。

当院は今年10月で開院して4年目を迎えました。あっという間の3年間でした。少しずつですが、馴染みの患者さんが増え、新たな患者さんもおいでいただくようになりました。患者さんは健康に不安があるので、当院においでいただくのですが、その不安にお答えできているかどうかの自信はありません。自分にできることは限られていますので、まずはお話をよく聞くことを意識してきました。繰り返しお話したのは、検査をしたから患者さんの不安の原因が必ずしも分かる訳ではないことです。よくお話するのは『検査についても限界があるということ』、『検査には常に目的があり、今回は症状を説明するためではなく、癌はまずはないということの確認の為の検査ですよ』などです。開業して驚いたのは、大学病院ではあまり経験することのない、明らかな器質的疾患がないのに訴えが続く患者さんの多いことです。このため上記のようなお話をすることが多いのかもしれません。

学生時に先輩医師から言われた『患者さんが痛いということは、必ず原因があるからで、検査して所見がないから何もないということではない』という言葉は常に意識しています。医学部5年生のとき、ベッドサイドトレーニングといいまして、いろんな科の実際の患者さんを担当してお話をうかがったり、実際の検査や治療に参加する実習があります。どの科でも一人の入院患者さんを担当し、患者さんの問診、診察、検査計画、治療計画などを担当医の先生から教えてもらいながら勉強していきます。その週の学生グループの担当医は毎週かわり、学生同士では『俺たちは○○先生でラッキー、××先生でアンラッキー』という話をしていました。その後私が入局した科に有名な指導医の先生がいました。その先生は他の指導医の先生とはまったく異なる指導方法でした。大学病院では、診断がついて精査や加療の為に入院してくる患者さんがほとんどですから、検査結果や治療方針に学生の興味は集中しがちです。しかしその先生はとにかく問診にこだわる先生でした。実習期間のほとんどを患者さんから、お話を聞く問診の内容評価に費やすのです。学生の間では不評でその△△先生の名前をとって△△地獄と言ったりしていました。でも今ならわかります。30年以上前の話ですが、そのころの検査や治療で今でも主流のものはありませんが、問診にこだわり診断へのプロセスをトレーニングするという教育方法はまったく色あせていません。

偉そうなことを書きましたが、実際私がそのようにできているかと言われればはなはだ程遠いと自覚しています。診断エラーで多いものは、自分の専門分野のようで、実は他の臨床科の疾患(たとえば、おなかが痛いといいながら実は心臓の病気など)、安易な診断による思考停止(今日はたくさん、下痢のウイルス性胃腸炎の患者さんがきたから、この患者さんもそうだろう)等です。これを防止するのはなかなか難しいことですが、独りよがりにならない、患者さんの訴えの経過を追うということを意識しています。つまり自分の診断にこだわらず、患者さんの訴えの推移を見るということです。それが、実際それがどの程度やれているのかはわかりません。しかしそれが、おいでいただく患者さんの方々には当院で加療をしても症状が続く場合には後方病院へ紹介することをお願いする理由です。毎日私と働いているみんなと朝、声を出して読んでいる、当院のモットーがあります。それは『永続的に自己研鑽をつみ地域のニーズに応える』というものです。職員一同患者さんの声に耳を傾け自己研鑽をつむことで地域のニーズに応えるように努力してきた1年でした。来年もその努力を継続していきます。長文になりました。皆さまよい年をお迎えください。

 

2019年12月30日
肝臓学会教育講演会

本日クリニックを午後休診にさせていただいて、下関で開かれている肝臓学会で開催された教育講演会に参加してきました。JR佐賀駅から下関に行きましたが、福岡~小倉がわずか12分ということに驚きました。幼少期に父の実家が小倉でしたので、久留米から小倉に行くことがありました。その際は電車で数時間かかっていたので…。会場では多数の受講者に混ざって肝臓に関するいろんな講演を聞いてきました。B型肝炎、C型肝炎、肝細胞がんの診断、治療、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、肝硬変総論、肝硬変の栄養療法、門脈圧亢進症、肝移植等の最近の知見を教えていただきました。開業医として地域医療に関わっていて、肝炎患者さんが減ったなぁという実感を裏づけるようにC型肝炎を背景に持つ肝がんが減少しているという報告がありました。一方非BC由来の肝がんが増えているということは私にはあまり実感がありませんが(もともと肝がんの患者さんがいなかったので)、その多くは非アルコール性脂肪性肝疾患を背景にして発生するだろうとのことは、今後エコー検査をしていく上で大事なことと思います。肝細胞がんの治療の講演では、分子標的治療薬が進行肝細胞癌に対する世界的標準治療薬とのコメントに驚きました。最後に肝移植のご講演では、米国はほとんど脳死肝移植に対して、日本ではほとんどが生体肝移植であり、その成績が欧米とそん色がないことに驚きました。生体肝移植はドナーの管理、移植する肝臓のボリュームが少ないなど手技の煩雑性が増し、脳死肝移植より医療者にとっては負担がかかることでしょう。その中で良い成績を上げている移植医の方々には頭が下がります。肝移植は逆転ホームランとのコメントがありましたが、肝硬変で黄疸がでて、倦怠感が強かった患者さんが、生体肝移植を受けて、さっそうと元気に挨拶に来られて驚いたことを思い出し、確かにそうだなと思いました。帰りは下関駅近くのきれいなイルミネーションをみながら家路につきました。

2019年12月13日
RS Baseオフ会

11月9日に 鳥栖の竹取物語という風流な場所でRS Baseという画像閲覧ソフトを開発した広島の山下郡司先生、開業医として総合診療の教育に力を注いでおられる中西重清先生を囲んでの食事会があり、参加してきました。現在どの分野でも電子化が進みペーパーレスになってきていますが、医療の分野でも同様で、多くの医療機関が電子カルテを取り入れています。電子カルテとともに画像も電子化が進み、昔のようなシャーカステンにレントゲンフィルムをかけて読影することはほとんどなくなり、モニター上で画像を見ます。

うちのような小さなクリニックでも画像としては、心電図、レントゲン、エコー画像、内視鏡画像、データとしては血液検査、尿検査、肺機能検査、また連携病院でお願いしたCTやMRI画像などをモニター画面で見ていきます。これらすべてをモニター画面上でみることのできるソフトを開発されたのが広島の開業医の山下先生です。そしてそのソフトをほぼただ同然で提供されるだけではなく、日々バージョンアップされており、その姿勢には頭がさがります。今や多くの電子カルテとの連携ができるになってきており、最近の追加した新しい機能の説明がありました。私はその機能のほんの一部しか活用していませんでしたが、RSカメラというアプリが現在ダウンロードできるようになっているそうです。これはiPhoneで撮影した静止画や動画を瞬時にRSベースにアップロードできるというものです。皮膚科の先生からは外来患者さん100人に対して写真を4枚程度毎日撮影するので、ほぼ毎日400枚前後の画像を次々にアップロードできるので非常に診療の手助けになっているということでした。たしかに目の前の患者さんのデータを後でゆっくりまとめる時間などないので、その場で次々に画像をファイリングしてくれるシステムはありがたいことだと思います。もう一人の中西先生は総合診療の草分けのような先生で、開業医としての診療をしながら、若い医師達への教育にも力を注がれている先生です。大阪で総合診療スキルの習得、教育を目的に『21世紀 適々斎塾』を開催されています。中西先生からは興味深い症例の動画を交えた提示が10例以上ありました。肺気腫にばち指が併存するときは肺がんを疑え!、手を握ると著名に痛がる高齢発症の関節リウマチ(EORA), 前皮神経絞扼症候群 (Anterior Cutaneous Nerve Entrapment Syndrome: ACNES)、初期のパーキンソン症候群、初期の筋委縮性側索硬化症などです。とても刺激を受けた時間でした。

2019年11月11日
アップパートナーズ佐賀オフィス

開業以来お世話になっている税理士法人のアップパートナーズが新たに佐賀オフィスを立ち上げられました。その開業式典がありお誘いを受けたので参加してきました。いろんな職種の方々がおられ、ビジネスの世界でよくある名刺交換をみなさんされていましたが、私はこのような会にでた経験がほとんどなく、少し場違いな感じがしていました。しかし隣には私のクリニックの設計を担当していただいたGATの吉浦さんがおられましので、楽しく歓談ができてあっという間に時間が過ぎました。アップパートナーズの菅拓摩代表は私の一回り年下の方です。思い起こせば3年半前に菅代表を知人に紹介して頂き、とんとん拍子に開業が進みました。私は年は取っておりましたが医業以外を知らない人間ですので、『本当に大丈夫だろうか』と不安一杯でしたが、菅代表を始め、開業支援のエキスパートの方々に『先生は大丈夫です』と背中を押してもらいながら半年で開業にこぎつけることができました。

開業医は医業とは別に個人事業主という顔を持ちます。起業をされる方はみな同じですが、医業においては通常のビジネスの社会でもっとも大切な利益追求ではなく、医療福祉への貢献というのが求められます。だからといってお金のことを考えなくてやっていける世の中ではありません。医療機関の統廃合がおこるのもそういう面があると思います。私にとっては自分の専門とする医業に力を集中し、経営的な面に関しては多数の医科歯科を顧客に持ち、医療界での経験値の高いアップパートナーズにサポートしていただく体制はなにより有難いことです。福岡本社は博多駅から歩いて5分の一等地のビル内にありますが、佐賀は鍋島にオフィスがあります。吉浦さんが設計に関わったというからとてもおしゃれなオフィスでしょう。いつかお邪魔させていただきたいと思います。アップパートナーズのますますのご発展を祈念します。

2019年11月01日
NHO佐賀病院

昨日は4か月に1回行われている基幹病院と佐賀市医師会の懇親会でした。今回の基幹病院はNHO佐賀病院でした。佐賀市医師会からは39人、NHO佐賀病院からは18人の参加でした。顔の見える関係を作ろうとの佐賀市医師会の理事の先生の発案から開始されて今回が26回目とのことです。今回も和気あいあいと楽しく時間を過ごすことができました。実はこの回は先日の大雨の翌日に予定されていましたが、大雨に伴い延期されていました。当日はNHO佐賀病院も浸水の被害にはあわれたそうで、大変だったようです。救急車が患者さんを搬送するのもままならなかったとか。ライフラインの大切さを本当に思い知らされた大雨でした。

また今回NHO佐賀病院の新院長になられた円城寺昭人先生は積極的に開業医を回られ、連携を深める努力をしていただけています。開業医として医師1人で働いていますと、本当にこの診断で良かったのだろうか、このまま家にお返しして良いのだろうかと不安になることがあり、頼ってくださる患者さんの健康を預かる医師としての重い責任を感じることが多々あります。佐賀では基幹病院(佐賀大学付属病院、好生館、NHO佐賀病院、佐賀中部病院)との連携がしっかりとれていることを常に有難いと思っています。

2019年10月04日