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福岡県のコロナ警報

福岡県でコロナ警報がでました。福岡は佐賀の隣であり、他人事ではありません。

 

福岡県新型コロナウィルス感染症調整本部で医療調整を行っている、九州医療センター救命救急センターの野田英一郎先生からのメールです。ぜひご一読ください。

 

 本日、本県に福岡コロナ警報が発動されました。本来この警報は医療機関に対し、病床逼迫の可能性が出てきたため病床の拡充をお願いする目的に使われているものです。入院している患者さんの数については確保している病床の26.9%、重症病床の12.2%しかおられません(12/10時点)ので、現時点でコロナ病床が逼迫しているわけではありませんが、読んでいただいている皆さんにお願いがあります。

「今年は大勢での忘年会、会食は控えてください。」

理由は以下の通りです。例によって長文になってしまいました。ご容赦ください。福岡コロナ警報の基準である25%が意味するところは、第2波の速度で入院が必要な患者が増えた場合、1週間後には入院調整が困難となり、入院することができずに待機する人が出てくるということです。そのためコロナ警報により、今まで準備病床とされていた病床を順次コロナ専用に転換するよう医療機関にお願いしたところです。では1週間後に必ずコロナ患者さんのために空けられるかと言うと、そういう訳ではありません。それは今現在そのベッドには他の患者さんが入院しているからです。退院を早めてもらい、不急の入院を控えてもらうことでベッドに空きを作るのです。第1、2波の時は病床に若干の余裕があり、空床を準備することができました。コロナ患者さんを受け入れている病院は救急病院でもあります。どの病院もコロナ病棟以外に残された病棟で通常の入院(がんの手術や検査入院など)と救急入院(肺炎、脳卒中、心筋梗塞、交通事故など)の対応をしています。冬場はこの救急入院が非常に増える時期です。今残された病棟はほぼ満床状態で、なんとかやりくりしています。コロナウィルス感染症の厄介なところは同じ病室、病棟にコロナ感染症以外の病気の患者さんを入院させることができないことです。そのためコロナ専用病棟、病室を作らざるを得ないのですが、当然その分、通常入院、救急入院にしわ寄せが行きます。どちらの患者さんも入院する病院がなくなった時、それが医療崩壊です。入院できずに亡くなる患者さんも出てくるでしょう。治療が受けられずに病気が進行する方も出てくるでしょう。

 

どうすれば防げるでしょうか?

 入院できるベッドを増やす?

 連日報道されているように、コロナ専用病院でさえ離職者が出ています。新たにコロナ専用の病棟を増床した病院でもスタッフが集まらず苦労しています。ベッドを増やすだけではダメなんです。

 

 唯一の方法は新規陽性者を減らすことです。どうやったら減らせるのか?当然かからないに越したことはありませんが、これだけ陽性者が増えてくると、どこでかかったのかが分からなくなります。かかってしまうことは逃れようがないかも知れません。

ただ一つ明らかなことがあります。(ヒトからヒトにうつる)感染症は「人と人が接触しない限りうつらない」、ということです(触る、触れるという意味ではありません)。人が1人で生活し、誰とも接触しなければ感染症はうつりません。と言うことは、この感染症の潜伏期間が2週間と言われていますので、今陽性となった方は2週間以内に別の方からうつされるような接触の機会があったと言うことです。同様に今から人にうつす、人からうつされるような機会が減らせれば2週間後には必ず感染は収束に転じると言えます。この原則で考えると、前回も書きましたが、第1波、第2波が終息したのは皆さんが努力して、接触機会を減らしてくださったからなのです。

 ただし、この病気のもう一つ厄介なところは症状が出る前から感染力があること、症状がなくても非常に強い感染力を持った方が出てくることです。ですので、かかったから人との接触機会を減らせばいいのではなく、誰しもが接触機会を減らさなければならないのです。社会生活を送るために接触をなくすことは不可能です。ではどの接触を減らせばいいのでしょうか?

 接触機会の中でリスクが高いと言われているのは、4月から言い続けております3密ですが、特に場面としては会食と考えられています。会食をきっかけに家庭内や医療機関、介護保険施設に広がっているのが今の状況です。

 一人暮らしされているみなさんはコロナ禍の中、毎日1人で食事をされている方も多いでしょう。人と会って楽しい食事をすることでストレスも解消できていたところ、この自粛生活でストレスが溜まっていることと思います。もし会食をするのであれば、普段よりもテーブル数や席数を減らしたり、パーティションを設けていたり、個室のあるお店で少人数で楽しんでください。

 これからの時期、例年であれば忘年会が楽しみではありますが、今年だけは忘年会を忘れてください、明るい2021年を迎えるために。

 気をつけていたにも関わらず、少しでもいつもと体調が違う、と思った時には出社、登校は控えてください。そして早めに検査を受けてください。職場の方は休むことを快く認めてください。もし陽性であることが分かったら、周りの方にうつさないためにも宿泊療養施設に入所してください。職場、学校の皆さんは、早く言ってくれてありがとう、と大きな気持ちで受け入れてください。かからないように十分気をつけていたのにかかったのですから。

皆さんのご理解とご協力をお願いいたします。

2020年12月16日