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年末のご挨拶

2019年も残すことわずかになりました。本日が当院の2019年の仕事納めでした。今年はインフルエンザの流行は早い時期に少しありましたが、最近はポツポツとおられる程度で当院の地域ではまだ流行しているという程ではないような印象です。しかし常に流行時期がありますので、年末年始は開いていない医療機関が多いので、どうぞ皆さま手洗い、うがいを励行し、飲みすぎなどにご注意ください。新年は1月4日土曜日より開院いたします。

当院は今年10月で開院して4年目を迎えました。あっという間の3年間でした。少しずつですが、馴染みの患者さんが増え、新たな患者さんもおいでいただくようになりました。患者さんは健康に不安があるので、当院においでいただくのですが、その不安にお答えできているかどうかの自信はありません。自分にできることは限られていますので、まずはお話をよく聞くことを意識してきました。繰り返しお話したのは、検査をしたから患者さんの不安の原因が必ずしも分かる訳ではないことです。よくお話するのは『検査についても限界があるということ』、『検査には常に目的があり、今回は症状を説明するためではなく、癌はまずはないということの確認の為の検査ですよ』などです。開業して驚いたのは、大学病院ではあまり経験することのない、明らかな器質的疾患がないのに訴えが続く患者さんの多いことです。このため上記のようなお話をすることが多いのかもしれません。

学生時に先輩医師から言われた『患者さんが痛いということは、必ず原因があるからで、検査して所見がないから何もないということではない』という言葉は常に意識しています。医学部5年生のとき、ベッドサイドトレーニングといいまして、いろんな科の実際の患者さんを担当してお話をうかがったり、実際の検査や治療に参加する実習があります。どの科でも一人の入院患者さんを担当し、患者さんの問診、診察、検査計画、治療計画などを担当医の先生から教えてもらいながら勉強していきます。その週の学生グループの担当医は毎週かわり、学生同士では『俺たちは○○先生でラッキー、××先生でアンラッキー』という話をしていました。その後私が入局した科に有名な指導医の先生がいました。その先生は他の指導医の先生とはまったく異なる指導方法でした。大学病院では、診断がついて精査や加療の為に入院してくる患者さんがほとんどですから、検査結果や治療方針に学生の興味は集中しがちです。しかしその先生はとにかく問診にこだわる先生でした。実習期間のほとんどを患者さんから、お話を聞く問診の内容評価に費やすのです。学生の間では不評でその△△先生の名前をとって△△地獄と言ったりしていました。でも今ならわかります。30年以上前の話ですが、そのころの検査や治療で今でも主流のものはありませんが、問診にこだわり診断へのプロセスをトレーニングするという教育方法はまったく色あせていません。

偉そうなことを書きましたが、実際私がそのようにできているかと言われればはなはだ程遠いと自覚しています。診断エラーで多いものは、自分の専門分野のようで、実は他の臨床科の疾患(たとえば、おなかが痛いといいながら実は心臓の病気など)、安易な診断による思考停止(今日はたくさん、下痢のウイルス性胃腸炎の患者さんがきたから、この患者さんもそうだろう)等です。これを防止するのはなかなか難しいことですが、独りよがりにならない、患者さんの訴えの経過を追うということを意識しています。つまり自分の診断にこだわらず、患者さんの訴えの推移を見るということです。それが、実際それがどの程度やれているのかはわかりません。しかしそれが、おいでいただく患者さんの方々には当院で加療をしても症状が続く場合には後方病院へ紹介することをお願いする理由です。毎日私と働いているみんなと朝、声を出して読んでいる、当院のモットーがあります。それは『永続的に自己研鑽をつみ地域のニーズに応える』というものです。職員一同患者さんの声に耳を傾け自己研鑽をつむことで地域のニーズに応えるように努力してきた1年でした。来年もその努力を継続していきます。長文になりました。皆さまよい年をお迎えください。

 

2019年12月30日