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『失神の鑑別診断』総合診療カンファランス

3月6日に毎回参加している総合診療カンファランスに参加してきました。佐賀大学総合診療部の相原先生から、総合診療部の多数の研究の紹介がありました。次に産業医科大の循環器の安部治彦教授の『失神の鑑別診断』のご講演がありました。失神の患者さんは外来でときに経験しますので、とても勉強になりました。以下とりとめのない私なりの講演の要約です。

・一過性意識消失で医療機関を受診する方は年間78万人もいること

一過性の意識消失

定義:一過性、突然起こってすぐに自然回復する

・原因疾患としては失神、てんかん、心因性が多いということ

失神(症状であり、病名ではない)

・定義:一時的に意識をなくす。体位の維持ができなくなる。

失神の病態生理としては、頭全体が虚血になったときにでる症状のこと。体血圧が低下して、あるいは極端な徐脈、心停止、極端な頻脈などの不整脈で頭全体に血流が回らない状態。つまり失神とは循環器疾患の症状である。一方鑑別で重要なてんかんでは頭全体の血流低下はない。むしろ増える。病態生理が異なる

 

意識消失の原因が失神か非失神かを鑑別するのが第一である。

しかし失神と非失神の鑑別が難しく、とくにてんかんとの鑑別が重要である。

意識消失を見ていた周りの人がいれば、そこから得られる情報、ケガの有無やケガの場所などが鑑別に効果的である。

失神と診断されたら、反射性、起立性低血圧、心原性の鑑別が重要。

反射性がもっとも頻度が多く生命予後はよく、心原性(9割は不整脈など)の頻度は15%であるが、生命予後は悪い

失神のハイリスク(心原性)は国際的にも決まっている

・基礎疾患があれば心原性を疑う

・労作中や仰臥位での失神

・失神時に動悸がある

・家族歴に心臓突然死がある。

・心電図異常(2束ブロック)

これらがひとつでもあれば心原性失神を疑う。

失神は症状なので、原因をつきとめないと加療ができないが、検査をしても原因をとらえることができないことがあるのが難しい。

頻度の多い血管迷走神経性失神の場合、前駆症状がある場合は失神回避法を、前兆がない場合は予防法として起立調節訓練を患者さんに教育すると有効である。まれではあるが、てんかん性失神という、てんかんに伴い、心停止をきたす疾患について教えていただきました。頻度は少ないようですが、心停止があっても、ペースメーカーの効果は限定的で、てんかんの治療をするだけで8割は失神をきたさなくなるとの由で勉強になりました。早速安部治彦先生の著書『この失神、どう診るか』を購入して、知識をもう少し深めることとしました。

 

2019年03月11日