薬剤耐性対策

薬剤耐性対策

佐賀文化会館での医療安全対策研修会に参加してきました。

医療事故調査制度と佐賀県の現状として山本章生先生からご講演があり、その後大曲貴夫先生から薬剤耐性対策のご講演がありました。

院内感染には以前より興味があり、以前の職場で佐賀大の感染制御部の先生方から教えていただいていました。長期入院になり、抵抗力が落ちた患者さん達に耐性菌が出て治療に難渋するため、可能な限り原因菌を同定し、それに効果のある抗生剤の使用を指導していただいていました。今日は高名な大曲先生の講演を興味深く聞きました。

本日のご講演のポイント

・薬剤耐性に対して何も対策をとらないと、薬剤耐性による死亡者数は2013年には年間70万人から2050年には年間1000万人となり、がんによる死亡者数を越える。

・日本は諸外国と比べても耐性菌の頻度が多い。

・抗菌薬の使用量も多く、その内訳としては内服の抗生剤使用が多い

・一般の方々への意識調査では風邪やインフルエンザに抗菌薬が無効であると知らなかった方が4割を超え、10人に1人が抗菌薬(抗生剤)を自宅に持っており、そのうち7割の人は自分の判断で内服している。

・本邦では上気道炎の診断で抗菌薬が6割の患者さんに処方されている。

・感冒(一般に風邪とされる)の典型例には鼻症状(鼻汁、鼻閉)・下気道症状(咳、痰)・咽頭症状(咽頭痛)が混合しているが、それに当てはまらないものには重篤のものがあるので、その見極めが重要である。

・耐性菌予防に関しては佐賀大感染制御部は厚生労働大臣賞を受賞するほど進んでいる。

 

現在は入院施設のないクリニックで働いていますので、強い抗菌剤を使うことはなく、私の立場で薬剤耐性菌に関わることは少ないと思っていました。しかし本邦では内服抗菌剤の処方が諸外国に比べて多く、それが薬剤耐性菌の発生の一因かもしれないとのお話は印象的でした。当院でも風邪には抗菌剤を処方しないことを原則としていますが、さらに患者さんによく説明する必要性と、抗菌剤を使用しなければいけない患者さんの見逃しをなくすように努力することを肝に銘じました。また佐賀大学附属病院の高評価を知り、現場の先生方の努力を知っている1人としてとてもうれしい講演でした。

2017年08月17日